叔母が残した〈土地の路線価1,500万円、建物50万円〉の家は壊すとどうなる?65歳女性が頭を抱えた「空き家」に潜む思わぬリスク【相続の専門家が解説】

叔母が残した〈土地の路線価1,500万円、建物50万円〉の家は壊すとどうなる?65歳女性が頭を抱えた「空き家」に潜む思わぬリスク【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親族を看取ったあとに直面する“空き家問題”は、誰にでも起こりうる身近な課題です。相続税はかからなくても、家をどう処分するかで悩む方は少なくありません。今回のケースでは、遺言書がありスムーズに相続できる状況に見えるものの、「空き家」に関わる思わぬリスクも潜んでいました。相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

叔母が亡くなった

以前に相談に来られた博子さん(65歳)から再度ご相談がありました。博子さんの叔母はずっと独身だったため、姪の博子さんが一番近くに住んでいることもあり、ずっと夫婦で行き来をしてきました。


叔母は博子さんの母親の妹で、母親のきょうだいはみな亡くなっており、兄の子のいとこが3人いますが、離れたところに住んでいて叔母とはほとんど行き来もありません。

貸付金を家で返してもらう

叔母は15坪ほどの建売住宅を自分で買って住んでいましたので、財産としては家が残りました。


しかし、10年ほど前に修繕費が必要となった際に、叔母にはまとまったお金を出す余裕がないと相談があったことから、博子さんの夫が修繕費を貸すことになりました。


そうしたことがあり、叔母の家は博子さん夫婦に残すと言ってくれて、遺言書にしてあります。博子さんと夫が2分の1の割合で、相続、遺贈を受けられるという内容です。

相続税はかかる?家はどうすれば?

叔母の預金はほとんどなく、入院するときに博子さんが貸したお金が残っているくらいだと言います。路線価を調べると土地の評価は約1,500万円、建物は50万円とわかりましたので、相続税はかかりません。


相続税の申告もいらないので、税理士さんに依頼する必要はありません。博子さん夫婦は自分たちの家に住んでいるので、叔母の家に住む予定はないといいます。建物は築40年ほどで叔母の荷物もまだぎっしり。それでも更地にしたほうがいいのか、迷っているのでどうすればいいかというご相談でした。

 

空き家は早めに処分したほうがいい

家は空き家になると不用心で、放火や侵入などのリスクもあります。自分たちが住まないのであれば早めの処分がオススメです。


立地がよくて賃貸できるという場合は、リフォームして賃貸してもいいのですが、水回りの設備は入れ替えをはじめとして、かなりのリフォームが必要になりますし、築年数が古いことは変えられないため、賃貸に苦戦することが想定されます。

 

となると、早めに室内の荷物を片付けて売却していくことが現実的です。建物はすぐに壊さなくても買主が見つかり、その後でも間に合います。年度が替わると建物の固定資産税が課税されますし、そのときに更地であれば土地の固定資産税は6倍にもなりますので、要注意です。

相続実務士のアドバイス

●できる対策⇒空き家は早めに売却してしまう。建物は売却を進める中でどうするか判断する。

●注意ポイント⇒古家でも壊してしまうと土地の固定資産税が6倍になる。建物を残したまま売却できることもあるので交渉する。
 

 


        

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

注目のセミナー情報

【資産運用】5月9日(金)開催
初期投資1,300万円・想定利回り16%!
安定収益、短期償却、社会貢献を実現する
「ビジネスホテル型トレーラーハウス」
待望の新規案件発表!

 

​​【資産運用】5月10日(土)開催
金価格が上昇を続ける今がチャンス!
「地金型コイン」で始める至極のゴールド投資

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧