兄弟姉妹がいても…配偶者が「1分の1」相続するケース
事例③
相続人:配偶者と兄弟姉妹[家系図③]
【日本民法の場合】
配偶者:4分の3
兄A :4分の1
●計算方法
配偶者に4分の3の相続分、残りの4分の1を兄Aが取得することになります。
【韓国民法の場合】
配偶者:1分の1
●計算方法
韓国では配偶者が生存している場合、兄弟姉妹は相続人にはならず、配偶者の単独相続となります。
事例④
代襲相続があった場合[家系図④]
【日本民法の場合】
配偶者:2分の1
孫A:2分の1
●計算方法
配偶者に2分の1、子の相続分の2分の1を孫が代襲相続人として取得することになります。
【韓国民法の場合】
被相続人の配偶者:5分の3
故人の配偶者:25分の6
孫:25分の4
●計算方法
計算方法は、故人の相続分を2と考え、被相続人の配偶者の相続分を3と考えます。合計5あるうちの、3を被相続人の配偶者が、残りの2を故人が有することとなります。そこから、その故人の相続分5分の2を故人の配偶者と故人の子に按分することになります。
この按分でも故人の配偶者に5割増しの規定が適用されるため、孫Aの相続分を2、故人の配偶者の相続分を3と考え、故人の相続分5分の2をさらに5分の3と5分の2に按分します。
そのため、故人の配偶者は5分の2×5分の3=25分の6、孫Aは5分の2×5分の2=25分の4となります。
事例④では、前回説明したように、日本民法と韓国民法では相続分だけでなく、相続人(代襲相続人)も違ってきます。
■まとめ
今回は法定相続分について説明しました。事例でも確認したように、日本民法と韓国民法では相続分の計算が大きく変わってきます。
韓国民法の場合、相続人の数によって配偶者の相続分は変動します。そのため、どれだけの財産を配偶者に遺したいか、という観点からも、日本民法を選択するのか、韓国民法を選択するのか、検討することが必要となります。
次回は相続放棄と限定承認について説明します。
親泊 伸明/しんぱく のぶあき
日本経営ウィル税理士法人 顧問税理士