(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。本記事では、日本と韓国の相続手続きについて見ていきましょう。日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していきます。

韓国の相続では、配偶者の相続分が「変動」する

■日本民法と韓国民法の相続分の違い

 

日本民法と韓国民法の相続分での大きな違いは、配偶者の相続分の変動です。

 

日本の民法では相続の第1順位である子と配偶者が相続人となる相続が発生した場合には、配偶者の相続分は2分の1となり、子の人数にかかわらず固定です。子は、相続分である2分の1を子の人数で按分した額になります。

 

相続の第2順位である直系尊属と配偶者が相続人となる相続が発生した場合には、配偶者の相続分は3分の2となり、直系尊属の人数にかかわらず固定です。直系尊属は、相続分である3分の1を直系尊属の人数で按分した額になります。

 

それに対して、韓国民法では第1順位の場合は直系卑属、第2順位の場合は直系尊属が1人「2」の相続分を、配偶者がその5割増しの「3」の相続分を保有すると考えます。相続分の合計のうち、配偶者がいくら保有し、直系卑属または直系尊属がいくら保有する、という考え方で相続分が定められます。

 

■事例

 

計算方法も踏まえて、事例形式で日本民法と韓国民法の差を確認していきます。

 

事例①

相続人:配偶者と子3人の場合[家系図①]
 

[家系図①]

 

【日本民法の場合】

 配偶者:2分の1

 子A,B,C: 各6分の1

●計算方法

 配偶者にまず2分の1、残りの2分の1を子A,B,Cの3人で均等に分けることになります。

 

【韓国民法の場合】

 配偶者:3分の1(9分の3)

 子A,B,C:各9分の2

●計算方法

 まず子の相続分を各2、配偶者をその5割増しの3とします。子は3人いるため、2×3人(6)です。また、配偶者の相続分は3ですから、全体で9の相続分があることとなります。この「9」という全体の相続分のうち、配偶者が3、子が各2の相続分を取得することになります。

 

事例②

相続人:配偶者と両親[家系図②]
 

[家系図②]

 

【日本民法の場合】

 配偶者:3分の2

 親A,B:各6分の1

●計算方法

 配偶者に相続分3分の2、残りの3分の1を親A,Bで均等に分けることになります(3分の1×2分の1=6分の1)。

 

【韓国民法の場合】

 配偶者:7分の3

 親A,B:各7分の2

●計算方法

 事例①と同様に、親A,Bにそれぞれ2の相続分、配偶者に3の相続分と考えると、全体で7になります。その7のうち、配偶者に3、親A,Bにそれぞれ2が与えられます。

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本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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