※画像はイメージです/PIXTA

税務署の税務調査のうち、調査担当者が自宅に訪問し申告内容を調べることを「臨宅調査」といいます。相続税の臨宅調査を受けた8割以上の人が非違事項(計算誤りや申告漏れ)を指摘されています。そのような臨宅調査の流れと、臨宅調査で実施される内容について解説します。

税理士に委任した場合の相続税の臨宅調査への影響

相続税の申告書作成は、所得税などと比べて専門性が高く、提出される相続税の申告書の8割は税理士が作成しています。また税理士は、申告書作成以外にも税務署との連絡の仲介もしますので、相続人の税務署対応の時間が短くなります。

 

税務署からの調査連絡は税理士を通して行われる

申告書作成を税理士に依頼した場合、税理士は「税務代理権限証書」を申告書に添付して税務署に提出します。税務署は税務代理権限証書が提出された場合、必ず関与税理士を通して連絡をしなければなりません。

 

相続人は、税務調査の連絡を税理士から受けることになるので、突然税務署から調査連絡があるよりも精神的な負担が軽減されます。

 

税理士は税務署の対応に慣れているので日程調整の意見を出しやすい

税務署が臨宅調査の日程調整を行う場合、調査担当者の都合に合わせた日程を申し出てきます。相続人側の都合を税務署に直接伝えるのは大変ですが、税理士に依頼していれば日程調整は税務署と税理士の間で行われますので、税理士に対して希望日時を伝えるだけで済みます。

 

またどうしても丸1日調査対応が難しい場合には、臨宅調査の時間を短くしたり、調査の開始(終了)時刻を調整依頼することも可能です。

 

税務署とのやりとりは税理士が行うため調査で拘束される時間が短くなる

臨宅調査が行われる際は担当税理士も同席しますので、税務署への反論もしやすくなります。また臨宅調査が終わり、税務署が2度目の臨宅調査が不要と判断した場合には、それ以後のやり取りについては税務署と税理士の間で行われます。

 

そのため税務調査に応対する時間を最小限で済ませられるのも、税理士に申告書作成を依頼するメリットです。

 

書面添付制度を利用すると税理士が先に意見聴取される

書面添付制度とは、税理士が相続人から相続財産についての内容を確認・聴取した結果を申告書に添付して提出する制度です。

 

相続税の申告書を提出する際に書面添付制度を利用すると、税務署は臨宅調査を実施する前に必ず税理士に意見聴取をしなければなりません。税務署は税理士が回答した内容で調査事項が解明できれば臨宅調査を実施しませんので、相続人が臨宅調査を受けずに済む可能性もあります。

 

ただ、この書面添付制度は、相続税専門の税理士であっても利用していなかったり、別料金のオプション扱いとなっていたりする場合もあるので、依頼の際に確認が必要です。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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