※画像はイメージです/PIXTA

税務署の税務調査のうち、調査担当者が自宅に訪問し申告内容を調べることを「臨宅調査」といいます。相続税の臨宅調査を受けた8割以上の人が非違事項(計算誤りや申告漏れ)を指摘されています。そのような臨宅調査の流れと、臨宅調査で実施される内容について解説します。

相続税の臨宅調査で税務署職員が確認する内容

相続税の臨宅調査は他の税目と違い、税務署職員が二人一組となって調査をします。また臨宅調査は午前と午後で調べる項目は異なり、午前中は生前の生活状況の確認、午後は財産の現物確認するのが一般的な流れです。

 

午前中は被相続人の身の上話を中心に聴取される

相続税の臨宅調査の午前中は、亡くなった人(被相続人)の生前の生活状況や亡くなる直前の状況について、調査担当者から尋ねられます。税務署が生前の行動を確認するのは、被相続人の生活費や財産の管理状況を把握する目的が主ですが、質問に対しての回答に不自然な点がないかを確かめる目的もあります。

 

脱税をする人は、脱税がバレるのを隠すために虚偽の回答をすることが多く、税務署は虚偽答弁を追求することで不正の手口を暴こうとします。

 

もっとも不正をしていない場合には、税務署の質問に対して正直に回答してマイナスになることはありません。質問された内容の記憶が定かではない場合には、「わからない」と回答することも必要で、あいまいな回答をすると返って税務署が疑念を抱く原因となります。

 

午後は財産の所在や通帳などの現物確認を行う

臨宅調査の午後は、相続財産の保管状況や通帳の中身を確認します。相続税の臨宅調査では、税務署は被相続人が生前住んでいた自宅を訪問先として指定するため、税務署で調査に応じることはできません。

 

理由としては、被相続人の生前の生活状況を確認したり、当時の財産の管理状況を具体的に確認したりするためです。事前に税務署に提示する通帳をリビングなどに用意しておいたとしても、税務署職員は保管していた場所(金庫やタンス)を直接確認し、金庫の中身まで全部取り出すことを要求することもあります。

 

臨宅当日に解決しなかった問題点があれば再臨宅もある

税務署は臨宅調査で確認した内容に基づき、申告内容の精査や銀行調査などを行い調査の収束に向けて準備を進めます。臨宅調査で税務署の疑問点がすべて解消された場合には、再度臨宅調査が行われることはありません。

 

しかし調査事項が解明できない場合や、銀行調査などによって新たに確認しなければならない項目が発生した場合には、2度目の臨宅調査の実施の申し出があります。2回目以降の臨宅調査時に税務署が聴取書を作成することがあります。聴取書とは税務調査時の答弁を証拠として書面で残したものです。

 

重加算税を賦課する際には仮装隠ぺいの証拠として聴取書を作成しますが、聴取書を作成していたからといって重加算税が賦課されるわけではありませんので過剰に心配する必要はありません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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