良好な環境で暮らす権利である「環境権」…侵害するとどうなる?【弁護士が解説】 (写真はイメージです/PIXTA)

良好な環境のもとで生活する権利である環境権。自宅やビルを建設したことでほかの住人の環境権を侵害してしまった場合、どのようなことが考えられるでしょうか。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が環境権について解説します。

環境権を侵害するとどうなる?

建築物を建築するにあたり、周辺の環境権を侵害していると認定されると、建築の差し止めや損害賠償請求を受ける可能性があります。具体的に見ていきましょう。

 

■建築の差し止め請求がされる

 

建築の差し止めとは、建築をやめるよう裁判所から命じられることです。環境権を侵害されたと主張する近隣住民となどが裁判所に申し立て、裁判所が近隣住民の主張を認めることで、差し止めがなされる可能性があります。

 

建築の差し止めが認められると、建築により得ようとしていた利益が得られなくなってしまう他、それまでに工事などに要した費用も無駄になってしまいます。

 

■損害賠償請求がされる

 

損害賠償請求とは、環境権侵害の代償として金銭を支払うよう裁判所から命じられることです。その金額は、侵害をした相手の権利の内容や程度などによって異なります。

環境権侵害の判断基準

環境権侵害が認められると、上記のとおり建築の差し止めや損害賠償につながります。しかし、冒頭で解説したとおり、環境権自体は法律で認められ確立した権利ではありませんので、環境権侵害が認められるハードルは決して低くはありません。

 

環境権侵害の判断は、次の基準でなされることが一般的です。

 

■社会生活上我慢すべきかどうか

 

環境権に限らず、双方の利益が対立した際の考え方として「受忍限度論」があります。つまり、「社会通念上一般的に見て我慢の限度を超えているかどうか」ということです。

 

たとえ建築基準法などの具体的な法令に違反していなかったとしても、社会通念上一般的に考えて我慢の限度を超えていると判断されれば、差し止め請求や損害賠償請求が認められる可能性があります。

 

受忍限度を超えているかどうかの判断にあたって、考慮要素の一つとされるのが、建築基準法など具体的な法令を遵守しているかどうかです。

 

法令を遵守しているから受忍限度を超えないとか、法令に違反しているから受忍限度を超えるというわけではありませんが、大事な考慮要素の一つです。

建築後に環境権侵害を主張された場合の対応

いくら法令を遵守して気をつけていても、周囲より大きな建物を建てた場合には、少なからず周囲の住民に影響を与えます。そのため、建築後に周辺住民などから環境権侵害を主張されることも考えられます。

 

では、環境権侵害を主張されたらどのように対応すれば良いのでしょうか?

 

■誠意をもって話し合う

 

まずは、相手と誠意をもって話し合いをしましょう。たとえ相手方の主張が裁判で認められない可能性が高いものであったとしても、その場所に建物を建てた以上、今後も周辺住民と良好な関係を築いておいた方が良いと考えられるためです。

 

■民事調停で話し合う

 

当人同士の話し合いをもってしても、相手方が矛を収めない場合には、民事調停で話し合うことも考えられます。

 

民事調停とは、訴訟のように裁判所が勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。民事調停では、一般市民から選ばれた調停委員が裁判官と共に紛争の解決にあたります。

 

民事調停で話し合いをする場合は、民事調停をスムーズに進めるためにも弁護士に相談するとよいでしょう。

 

■訴訟で解決する

 

民事調停でも決着がつかない場合、最終的に訴訟で解決することになるでしょう。訴訟となれば、裁判官が、双方の主張や証拠を基に、判断を下すことになります。なお、当事者間で合意がまとまれば、途中で和解をすることも可能です。

まとめ

環境権は法律で確立した権利ではないとはいえ、建築後に周辺住民などから環境権侵害を主張される可能性は十分に考えられます。

 

特に、周辺と比べて大きな建物を建築しようとする場合には、事前に説明会を開くなど慎重に工事を進める必要があるでしょう。環境権についてお困りの際には、弁護士へご相談ください。

 

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士

 

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Authense法律事務所 弁護士

東京弁護士会所属。千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。
賃貸管理を中心に数多くの不動産案件を取り扱い、当所において建物明け渡し訴訟の分野で国内トップクラスの実績を誇る礎を築いた。多数の不動産賃貸管理トラブルを解決へと導いた実績から、国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー依頼も多く、積極的に講演活動も行う。
多店舗を展開する東証一部上場企業の社外取締役を務めた経験も活かし、経営者目線を持った弁護士として、様々なビジネス課題を解決するための多面的なアドバイスを提供する。
不動産法務だけでなく、不動産と切り離せない相続問題にも注力。依頼者や顧問先企業のニーズに寄り添い、柔軟に対応することを信条としている。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense不動産法務(https://www.authense.jp/realestate/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の森田雅也弁護士が解説!トラブル解決のための不動産法務のポイント

本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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