裁判所は「顧客30名の陳述書」によって損害を認める
そして、この事例では、
「本件についてみると、原告の30数名の顧客が、飲食店からの魚の臭いについて、かなりの不快感を示しており、主たる商品である婦人服等に魚の臭いが付着し、悪臭によって被害を被った事実が認められ、他方、被告側において、悪臭に関する抜本的な解決策をとらなかったことが認められる。
したがって、被告は、賃借人に目的物を使用収益せしめる義務を怠ったものであるから、原告に対して債務不履行責任を負うというべきである。」
と述べて、貸主の責任を認めています。
なお、悪臭の立証については、この裁判例では、臭気の計測まではされておらず、上述の通り、婦人服販売店の顧客の30名の陳述書によって認めている点が興味深いところです。
そして、その損害については、婦人服販売店が主張する実際の売上の減少分についてはそのまま認めることはできないと言いつつも、主張された損害額の約半額程度を損害として認定しています。
賃貸人として、店子の悪臭を放置していることが問題となり得ることを示した事例として、本件事例は意義があると言えます。
※この記事は、2020年9月24日時点の情報に基づいて書かれています。
北村 亮典
弁護士
こすぎ法律事務所
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