(※写真はイメージです/PIXTA)

会社が潰れる本当の原因は、赤字や債務でなく「資金不足」です。資金繰りを良くするにはどうすればよいのでしょうか? ここでは、資金繰り専門税理士が「税理士から教われない資金繰りテクニック」を公開します。

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    iDeCoだと「60歳まで受取れない」が…

    iDeCoが人気。iDeCoは個人型の確定拠出年金(DC)のことで、節税効果が大きいのが人気の理由。

     

    まず、積み立てた時に掛金が全額所得控除になる。

     

    また、運用中は分配金などの運用利益が非課税になる。さらに、60歳以降で受け取る時に、年金として受け取る場合は公的年金控除、一時金として受け取る時は退職所得控除が受けられるため、ここでもかなり税金が優遇される。

     

    ただ、資金繰りという点から見ると、60歳まで受け取れないのがネック。

     

    そこで注目したいのが、確定給付年金(DB)である。

     

    確定給付年金の1つである「福祉はぐくみ企業年金基金」を例にすると、この年金は退職や休職のタイミングでも受け取れる。これは大きい。

     

    今は終身雇用がない時代。転職も珍しくない。女性は結婚や出産を機に退職することがあるし、男女問わず、起業する人も多い。お金が必要なのは、まさにこういう時である。

     

    60歳になって「そろそろ引退だなあ」「年金ももらえるなあ」などと考えるタイミングではなく、脱サラして起業する時、仕事を辞めて育児に専念する時に、お金が必要になる。

     

    確定給付年金は、そのタイミングでお金を受け取れる。女性や起業を考えている人には是非勧めたい制度。

     

    もちろんiDeCoと同じような効果があり、掛金は毎年の所得から引くことができ、受け取り時は退職所得控除が受けられる。

     

    ただし、確定給付年金への加入は、勤め先を通じて行う。つまり、勤め先の会社が契約しなければならない。

     

    経営者としては社員の資産形成を支援し、喜んでもらうことができる。社員だけでなく、会社も社会保険料の削減効果があるため、メリットが見込める制度だ!

    節税対策にも、融資対策にもなる「決算賞与」

    日本は3月決算の会社が多い。賞与の支給は夏と冬が多い。慣習的にそうなっているが、これは資金繰りの面から見ると、あまり良くない。

     

    銀行などの金融機関は、会社の決算書などを見て資金を融資するかどうか判断する。つまり、会社の決算書は、銀行などの金融機関に「貸してもいい」「貸したい」と思ってもらう重要な資料であるということ。

     

    内容が良いほど融資を受けられる可能性は上がる。決算書の見せ方は操作することは可能である。節税と銀行評価を良くする手法の一つとして、決算賞与をオススメする。

     

    具体的には、社員に支給する賞与の通知を決算月、実際の支給を翌月に設定する。

     

    通知は、賞与の明細書を渡すということ。決算日から1ヵ月以内(来期に支給する、という点が大事)に賞与を支給する。すると、賞与は今期に発生した費用となり、その分を利益から損金として引くことができ、節税になる。

     

    それも大事ではあるのだが、重要なのは実際の支給を翌月に設定するという点。

     

    決算書は決算日時点の情報をまとめる。決算日にはまだ賞与を支給していないので、来月、賞与として支給する予定の金額が、貸借対照表の現金預金の科目に載る。例えば、決算賞与を総額1000万円支給するなら、決算書の現預金残高が1000万円多く見える。

     

    融資対策ではここが大事。銀行などの金融機関は、現金を持っている会社に融資したいと考えるから。

     

    決算日にはできるだけ多くの現金預金を持っていることが重要。現金預金が多い決算書は銀行の評価で3年間使われることになる。

     

    「貸してもいい」「貸したい」と思ってもらうために、決算月に合わせて賞与の支給額を通知し、翌月に支給時期を調整しよう。

     

    さらに、決算賞与は特別損失として計上できるので、営業利益、経常利益を下げずに決算書を作ることができる。決算賞与はいいことばかりの決算対策なのだ。

     

     

    菅原 由一

    SMGグループ CEO

    SMG菅原経営株式会社 代表取締役

    SMG税理士事務所 代表税理士

     

     

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    ※本連載は、菅原由一氏の著書『激レア 資金繰りテクニック50』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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