(※写真はイメージです/PIXTA)

全国では毎年10万戸超の新築マンションが誕生していますが、それらの建物形状は、立地条件などに合わせて多種多様にプランニングされています。また、マンションの建物形状と住戸の間取り形状は一定の相関関係にあります。羊羹型、雁行型、クライスター型など、建物形状ごとに異なる間取りの特徴と、そのメリット、デメリットについて検証します。

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    マンションの建物形状②…Y字型や円柱型も!?

     

    雁行型

    複数の住戸がスライドしながら並ぶ形状が、渡り鳥(雁)の群れが飛ぶ姿に似ているところから「雁行型」と呼ばれています。バルコニーが隣住戸と直線的に繋がっておらず、左右のいずれかは開放、もう片方は壁になっているため、全戸に角住戸のようなプライベート感が生まれます。

     

    構造上のバランスが不安定となるため高層マンションには不向きとされ、主に低・中層マンションで採用されています。斜め方向に延びる建物形状なので、羊羹型のような直線方向に延びる建物が建てにくい変形地(ひし形や台形など)でも建築が可能です。

    羊羹型同様、建物の片面に住戸が並び、もう片面が外廊下になるため、ほぼすべての住戸が同じ方位となり、間取りの形状も正方形や長方形のみでバリエーションは単一的です。

     

    トライスター型

    建物がY字状に3方向へ広がり、上空から俯瞰すると星型にも見えることから「トライスター型」という呼び名が付きました。建物中心部にエレベーターホールを置き、そこから放射線状に内廊下が伸び、廊下を囲むように住戸が連なります。

     

    360度まではいかないものの、各住戸のバルコニーはあらゆる方位を向いています。1フロアに20戸以上の住戸を配置することができるため、1,000戸超の大規模タワーマンションで採用されています。

     

    間取りの形状は正方形や長方形といったスタンダードタイプからワイドバルコニーを有する横長タイプまでバリエーション豊かに揃います。しかし、総戸数が多いわりに角住戸率は1フロア3~67戸程度とそれほど高くありません。加えて、住戸の向きによって日照時間が限られるというデメリットもあります。

     

    円柱型

    文字通り、建物が丸い円柱のような筒状になっているため「円柱型」と呼ばれます。上空へ高く伸びるスッキリとしたデザインが特徴で、建築面積が限られた都心のタワーマンションで多く見られます。

     

    建物中心部にエレベーターホールや吹抜けを配し、その外郭に住戸が並びます。間取りの形状は主に扇形で、方位が360度あらゆる方向にひらけ、どの住戸からもワイドな眺望が楽しめます。しかし、間取りのバリエーションは単一的であり、正方形や長方形の間取りと比べるとデッドスペースが多くなります。加えて、開口部がバルコニー側の1面しか取れず、全戸とも中住戸扱いとなります。

     

    半円型

    半円型の土台の上に建てられた建物を「半円型」と呼びます。ちょうど円柱型を縦半分にカットしたような形状なので、間取りの特性も円柱型と同様の扇形が主となります。半円のため方位は180度に限られますが、各住戸ともワイドな眺望が楽しめます。

     

    間取りはバリエーションが少なく、室内にデッドスペースが多い点も円柱型と同様です。1フロアに2戸ある角住戸は2面採光になりますが、それ以外の住戸はバルコニー側の1面しか開口部が取れません。半円型の建築計画は眺望重視の設計プランであり、眺望豊かな立地、たとえば海を望む高台に建つリゾートマンションなどでよく見られます。

    建物形状ごとの「耐震性」はどうなっている?

     

    近年ではあまり見られなくなった建物形状ですが、「L字型」や「コの字型」といった平面形状または断面形状が不整形なマンションは揺れに弱く、大きな地震が起きた際に建物の接合部(「L」や「コ」の角部分)がズレたり崩壊してしまう心配があります。

     

    また、羊羹型や雁行型に分類される建物の中で、階層が高く多数の住戸が延々と連なる細長い形状のマンションの場合は、地震が起きた際に波打つように建物が揺れ続けてしまうため、桁行方向(長辺方向)に被害が集中しやすいといわれます。建物全体を眺めてみて、縦横・左右の比率が極端に違うなど構造上のバランスが悪そうなマンションは気を付けた方がよさそうです。

    建物形状によっては、天災に弱いものもある

     

    マンションの建物形状あれこれと、建物ごとに異なる間取り形状の特徴について検証してみました。マンションの建物形状は四角いものだけでなく、星形、円形などバラエティに富んでいることがお分かりいただけたと思います。

     

    またそれぞれの建物内に造られる間取りプランも、デッドスペースの少ない四角形のものから伸びやかな眺望が楽しめる扇形までバラエティに富んでいます。

     

    その一方で、建物形状によっては地震などの天災に弱いものもあるため、購入を検討する際には構造上のバランスが取れているかどうか現地でしっかり目視確認することも必要です。

     

     

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    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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