(※写真はイメージです/PIXTA)

全国では毎年10万戸超の新築マンションが誕生していますが、それらの建物形状は、立地条件などに合わせて多種多様にプランニングされています。また、マンションの建物形状と住戸の間取り形状は一定の相関関係にあります。羊羹型、雁行型、クライスター型など、建物形状ごとに異なる間取りの特徴と、そのメリット、デメリットについて検証します。

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    マンションの建物形状は「土地」で決まる

     

    世の中にはさまざまな建物形状のマンションがありますが、どんな形状で建てるかは建設予定地の特性によって大きく左右されます。平坦な土地、風光明媚な高台、ひな壇の丘陵地などの土地特性に合わせて日当たりや眺望を考慮した建物構想が練られるほか、用途地域が住宅系、商業・工業系のいずれに属するかによってもさらなるアレンジが加えられます。

     

    たとえば建築予定地が第一種低層住居専用地域内にある場合は、マンションであっても地上3階建て程度の低層建物しか建てられず、庭や空地の面積も広く取らなければなりません。一方、商業系用途地域内の場合は、敷地いっぱいに建築面積が取れる上、タワーマンションなど高層建物の建築も可能になります。

     

    設計担当者はこれらさまざまな制約に縛られながらアイディアを絞り、その土地に相応しいマンション企画を構築していくのです。

    マンションの建物形状①…割とよく見かけるスタイル

     

    羊羹型(または板状型)

    和菓子の羊羹のように四角く凹凸がない建物形状から「羊羹型」と呼ばれています。昭和時代の公団住宅などでよく採用されていましたが、近年では高級住宅街に建つ専有面積100㎡超の間取りを中心とした低層マンションでも採り入れられるようになりました。

     

    建物の片面に住戸が並び、もう片面が外廊下になるため、ほぼすべての住戸が同じ方位を向いています。間取りの形状は正方形または長方形でデッドスペースが少なく、プランのバリエーションは単一的です。角住戸は1フロアにつき建物両端の2戸しか取れないため、中住戸より価格が高くても希少な角住戸に人気が集中します。

     

    スクエア型

    四角く凹凸がない建物形状は羊羹型と同じですが、羊羹型よりも建物に厚みを持たせ、その中央に廊下やエレベーターホールなどの共用設備を配置し、外郭にぐるりと住戸を配置したのが「スクエア型」と呼ばれる建物形状です。

     

    郊外に建つ総戸数100戸超の中層マンションでよく見られます。間取りの形状はデッドスペースが少ない正方形や長方形で、各住戸の方位は東西南北の四方向に向きます。また角住戸は1フロアにつき4戸取れます。

     

    ボイド型(または口の字型)

    スクエア型と同じ四角い建物の中央に、共用設備のほか吹抜け(=ボイド)を設けたのが「ボイド型」の建物です。吹抜けがあることで、バルコニー側のほか廊下側にも開口部が設けられるため通風性に優れ、また共用廊下にありがちな閉塞感も解消されます。

     

    大規模タワーマンションなどで採用されることが多く、高層階から吹抜け下を覗くとなかなかのスリル感が味わえます。スクエア型同様、間取りの形状は正方形や長方形、角住戸も1フロアに4戸、方位も東西南北の四方向に向きます。

     

     

    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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