社員にはピンとこないが…「退職金制度」として企業型確定拠出年金を選ぶ“社長の本音”

社員にはピンとこないが…「退職金制度」として企業型確定拠出年金を選ぶ“社長の本音”
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業型確定拠出年金について、実際の経営者はどのような考えで導入し、どのような効果を感じているのでしょうか。金属加工業を営む会社での事例について、企業年金コンサルタントの細川知宏氏が詳しく解説します。 ※プライバシー保護のため、細部は多少変更しています。

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    スムーズに対応してもらい、導入した結果…

    最初は、付き合いのあった金融機関や保険会社に相談してみたものの、パンフレットなどに沿った通り一遍の説明しかしてくれず、細かいことを質問しても要領を得ない回答しか返ってこないことがあったりして、依頼するのに不安がありました。そのことを相談した顧問の社会保険労務士の紹介で、私たちが相談に乗ることとなりました。

     

    「細川さんからお話をうかがって、厚生年金基金からの移換や確定拠出年金導入の経験が豊富で、スムーズに対応していただけることが分かりました。加えて、思ったより費用が掛からないこともあり、お願いすることにしました」

     

    Y社にとっては、すでに解散が決まっている厚生年金基金から制度を移換することが最重要課題であり、時間的な制約があったことから、企業型確定拠出年金のなかでも設計がシンプルで導入にあたってのハードルが少ない標準タイプ(※)を採用して、従業員が全員加入することとしました。

     

    ※ 標準タイプ…従業員に支払っている給与とは「別枠」で確定拠出年金の掛金を設定する方式。

     

    その意味では、制度設計に関わる苦労はほとんどなかったといえます。

     

    厚生年金基金から確定拠出年金に移換してまだ1年ほどのため、B社長にとって、具体的な成果などはまだよく分からないというのが正直なところのようです。

     

    「運用成果などは、まだよく分かりませんが、退職金制度の移換が至上命題だったので、その意味では、スムーズに確定拠出年金を導入できた時点で、当初の目的はかなりの部分をクリアしたというのが実感です」

     

    厚生年金基金の場合、企業や従業員が主体的に運用に取り組むという仕組みではありません。

     

    その意味で、企業型確定拠出年金になって、初めて運用に取り組むという社員の方がほとんどですから、すぐに成果が出るわけではないのは、むしろ当然のことです。

     

    私たちのこれまでの経験上も、社員の方が導入当初はなかなか確定拠出年金の仕組みを理解されず、2年か3年経ち拠出金がある程度積み上がった段階で運用成果が見えるようになると急にアクションが増えるようになるというのが、一般的なパターンです。

    次ページ社員のモチベーション・定着率の向上にも繋がるワケ

    ※本連載は、細川知宏氏の著書『社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法

    社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法

    細川 知宏

    幻冬舎メディアコンサルティング

    社員の退職金・年金を「見える化」し、社長の老後資金も増やせる⁉ 中小企業だからこそ活用できる「企業型確定拠出年金」を徹底解説。 本書では、大手証券会社勤務を経てIFA(金融商品仲介業者)となり、数々の「企業型確定…

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