(写真はイメージです/PIXTA)

行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が相続における現金の取り扱いと保全処分手続について解説します。

【関連記事】「年間110万円」まで非課税だが…初孫に喜ぶ老夫婦が頭を抱えた「暦年贈与の落とし穴」【税理士が解説】

現金の相続と取り扱い

まずは、相続における現金の取り扱い、遺産分割における現金の取り扱いについて説明していきましょう。

 

現金の相続について

 

死亡により相続が開始し、相続開始により遺産は相続人に承継されます。相続人が複数いる場合は、相続財産はその共有となるのが原則です。

 

ただし、可分債権である遺産は債権者が複数になれば法律上当然に分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を承継します。

 

現金は遺産分割の対象であり当然分割されるものではない

 

現金の特殊性から、かつては金銭債権と同様に相続開始時に当然に分割されるとの見解もありました。

 

しかし、最高裁平成4年4月10日判決が、

 

「相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない」

 

と判示し、現金が遺産分割の対象となることが明確にされました。

 

※当然分割とは、遺産分割協議が不要で、被相続人が死亡した時点で当然に分割されていること。

共通の認識を持ったうえで遺産分割協議を行う

現金は遺産分割の対象となるので、共同相続人は、協議で他の遺産と共にその全部または一部の分割をすることができます。

 

現金を相続人の1人が保管している場合は、金額について相続人全員が共通の認識を持ったうえで分割の協議をすることになります。

 

保管していない相続人は、共有物の保存行為の一環として、保管している相続人に対し、現金の金額を明らかにすることを請求でき、保管方法についても意見を述べることができると考えられます。

 

有効な協議分割となるためには、分割内容について共同相続人全員が合意することが必要です。

 

作成書類…遺産分割協議書(現金を分割する場合)

添付書類…相続人全員の印鑑登録証明書

作成時期…相続開始後随時

作成者…相続人全員(包括受遺者、相続分譲受入がいる場合はこれらも含みます。)

遺産分割の調停と審判申立て

現金の金額が明らかにされず分割の前提がつくれないなど、遺産の分割について共同相続人間で協議が調わないときは、共同相続人はその全部または一部の分割を家庭裁判所に請求することができます。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】4月25日(木)開催
【税理士が徹底解説】
駅から遠い土地で悩むオーナー必見!
安定の賃貸経営&節税を実現
「ガレージハウス」で進める相続税対策

 

【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力

次ページ審判前の保全処分手続で現金の費消を防ぐ

本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧