(写真はイメージです/PIXTA)

行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が相続における現金の取り扱いと保全処分手続について解説します。

審判前の保全処分手続で現金の費消を防ぐ

家庭裁判所に遺産分割の調停・審判を申立てても、その手続中にも現金の費消は可能ですから、それを防ぐ必要があります。

 

その方法として、審判前の保全処分手続で被相続人の遺産の管理者を選任することが考えられます。

 

遺産分割事件が係属する家庭裁判所に、現金を保管していない相続人などが申立てます。この申立てでは、遺産の管理者の候補者を記載します。本件では、弁護士などの第三者が望ましいと考えられます。

 

この手続きをとって現金を管理者に移せばそれ以降の費消は防げますが、現金を保管していた相続人が移す前にその一部を隠してしまうことは防げないので、効果は限定的ではあります。

 

作成書類…審判前の保全処分申立書

添付書類…財産の管理者の候補者の戸籍謄本・財産の管理者の候補者の住民票

申立時期…遺産分割調停・審判申立てと同時またはその後随時

申立人…本案の利害関係人(当事者は当然含まれる)

申立先…遺産分割事件が係属している家庭裁判所(遺産分割事件が高等裁判所に係属しているときは当該高等裁判所)

申立費用…予納郵便切手(各裁判所が定めるところによる)

 

参考判例

 

相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできないとした事例。

現金の遺産分割に関するまとめ

  • 現金は動産であり、金銭債権とは異なり、遺産分割の対象なので遺産分割の協議が調った場合は遺産分割協議書を作成する
  • 遺産分割の協議が調わない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停・審判を申立てる
  • 遺産分割調停・審判の間に現金の保管者である相続人が現金を費消しないようにするために、審判前の保全処分手続を取ることができる

 

 

大槻 卓也

行政書士法人ストレート 代表行政書士

 

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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