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相続税の申告期限までに遺産分割ができない場合は、法定相続分で分割したものとして申告します。また申告期限までに遺産の一部だけが分割できないケースもあります。このような場合、どうすればいいのでしょうか。みていきましょう。

実務では穴埋め方式で分割する

相続税法第55条では、未分割の遺産がある場合に「その分割されていない財産については」法定相続分で取得したとして課税価格を計算すると定められています。つまり、積み上げ方式が規定の内容に忠実な考え方であることがうかがえます。

 

しかし、過去の裁判では穴埋め方式で計算することが妥当であるとの判断がなされています。これは、遺産の一部を分割した場合でも各相続人の法定相続分が変わるものではないという考えに沿ったものです。

 

近年の国税不服審判所の採決でも穴埋め方式が支持されています。

 

積み上げ方式と穴埋め方式のどちらで課税価格を計算するかは、あくまでも遺産分割が確定するまでの税務申告の仮計算の話です。遺産分割が確定して修正申告や更正の請求をすれば、最終的な納税額は同じになると考えられます。

一部未分割のまま二次相続が発生した場合の申告方法

先に夫が死亡して一次相続があり、その遺産が一部未分割のまま次に妻が死亡して二次相続が起こったとします。このとき、二次相続の相続税申告で未分割遺産をどのように扱うかが問題になります。

 

二次相続の対象となる妻の財産は、夫が死亡したときの一次相続で未分割遺産を穴埋め方式で取得したことにするのが妥当です。

 

しかし、その後一次相続の未分割遺産の分割が決定した場合、税額が不足していた場合の修正申告はできても、税額が過大であった場合の更正の請求はできないとされています(平成14年7月4日国税庁資産課税課・国税庁資産評価企画官室)。

 

そのため、二次相続の対象となる妻の財産には一次相続の未分割遺産は含めずに申告し、一次相続の遺産分割がすべて決定したときに修正申告をする方がよいと考えられます。

 

[図表4]未分割遺産がある状態で二次相続が発生したら
[図表4]未分割遺産がある状態で二次相続が発生したら

未分割申告が必要な場合は税理士への相談がおすすめ

ここまで、相続税の申告期限までに遺産の一部が分割できない場合に、その未分割遺産をどのように分割して申告するかの考え方をご紹介しました。

 

未分割遺産を分割する方法としては、積み上げ方式と穴埋め方式の二通りの考え方がありますが、実務では穴埋め方式で分割することとされています。

 

一部未分割のまま二次相続が発生した場合は、一次相続の未分割遺産は含めず申告し、一次相続の遺産分割が確定した後で修正申告をします。

 

未分割申告を行う場合、最初の申告と分割確定後の申告、実質2回の申告を行う必要があるため時間と手間が倍増します。不安な方は相続税に強い税理士に相談することをおすすめします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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