「日当20万円払え!」修繕工事めぐり借主が仰天いちゃもん【弁護士が事例解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ビルオーナーが、保有するビルの補修工事の協力を借主に要請したところ、借主から「協力するかわりに日当を払え」と無茶な要求を受けました。あまりにも理不尽な対応に、ビルオーナーは「賃貸契約を解除したい」と考えましたが、可能なのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際の裁判例をもとに解説します。

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あまりに理不尽な、補修工事協力のための条件

【ビルオーナーからの質問】

 

当社は、7階建ての賃貸ビルを所有しています。

 

このビルは、各階の天井部分に、上階に位置する貸室の排水管がむき出しで配置されている構造となっています。そのため、賃借人との契約では、特約で「本件建物の天井部分(上階使用の上下水道管の配管)の配管点検、修理を行う場合は、借主は無条件にて協力(室内の立ち入り及び工事の協力等)する」と定めています。

 

今回、2階の排水管の補修を行う必要が生じたため、1階の貸室部分の借主に対して補修工事に協力して欲しいという申し出をしました。補修工事は2日間の予定でした。

 

しかし、1階の借主(デザイン事務所)の代表者が気難しい人でなかなか応じてもらえず、最終的には、補修工事に協力する条件として以下の条件5つを提示してきました。

 

①工事を土日に行うこと

②工事に賃貸人の会社の代表者が立ち会うこと

③事故が起きた際には賃貸人が責任を負うことを明らかにした文書を提出すること

④借主代表者が工事に立ち会うことの日当として3万円(1日1万5000円×2日)を支払うこと

⑤借主の従業員が机やパソコンといった備品類や床に置いてある書類等を移動させることの日当として20万円(1日10万円×2日)を支払うこと

 

我々としても、譲歩し、①と③につき了承し、②についても、こちらの代表者が本件工事に立ち会う必要はないため、何かあった場合には連絡を取れるような状態にしておくとの提案をしました。

 

しかし、④と⑤については、養生を行うので備品類の移動を行う必要はなく、脚立を立てるための足場を確保するために床に置いてある書類等の移動が必要になる程度でしたので、日当の支払いは拒否したところ、やはり借主は補修工事への協力を拒否してきました。

 

あまりにも借主の対応が理不尽なため、信頼関係が破壊されたとして、こちらから賃貸借契約を解除する旨の通知を行いました。

 

当社の主張は認められるでしょうか。

 

【説明】

 

本件は、東京地方裁判所平成30年4月5日判決の事例をモチーフにしたものです。

 

貸主側は、借主が排水管の補修工事に条件を付けて協力を拒んだことについて、本件特約(排水管の工事に無条件で協力する旨の特約)と民法上の修繕工事受忍義務に違反したとして、賃貸借契約の解除を主張しました。

 

この事案で問題となったのは、

 

① 無条件で修繕工事に協力する旨の特約が定められている場合に、賃借人はこれに従わなければならないのか

② 借主が補修工事への協力を拒んだことが、賃貸借契約解除の理由となるか

 

の2点でした。

 

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こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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著者紹介

連載現役弁護士による「賃貸・不動産法律問題」サポート相談室

※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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