(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の税務調査でよく問題となる名義預金。妻名義の通帳の原資が夫だと、相続税の課税対象になってしまいます。さらに、預貯金に限らず保険・有価証券といった財産も含む名義財産も相続税の対象となります。ここでは、夫が亡くなり妻が相続をしたケースでの「名義財産とならないためのポイント」について、辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が解説していきます。

「このお金はどこから?」“証明”する4つのポイント

では、妻が財産をもっていて、税務署から「どうしてこれだけお金を持ってるんですか?」と聞かれた場合、具体的にどう対応すればよいのでしょうか。ポイントは、下記の4つです。

 

●妻の収入

●親からの相続

●持参金

●保険、有価証券は?

 

「収入はありましたか?」という問いに対しては、「結婚する前に働いていた」「パートしてこれだけ月給があった」といったことを証明できるかがポイントとなります。

 

親からの相続については、「親の相続税の申告書をもっている」もしくは「遺産分割協議書をもっていて、わたしは親からこれだけもらった」と証明する必要があります。

 

そして、結婚する際に親から持参金というかたちで300万円をもらい、ずっと持っていたというケースもあります。「利息もついてきて、今これだけの財産になっています」といった説明ができれば、ある程度財産をもっていても説明がつくかもしれません。

 

ですが、こうした説明ができずに多くの預貯金がある場合には、名義預金となる可能性があります。

 

名義預金があると当初の申告の段階でわかれば、「配偶者の軽減」という規定が使えます。最初の申告の際に税理士にきちんと伝え、当初から名義預金について申告していれば、これを配偶者が取得する分については1億6000万円まで相続税はかかりません。

 

わたしはこれを先手必勝方式といっています。あらかじめ申告をして、配偶者の軽減で非課税を使うというやり方です。

 

しかし税務調査のときに妻名義の預金が名義預金として認定されたら、仮装または隠蔽といわれる可能性があり、仮装または隠蔽した財産については配偶者の軽減は使えません。

 

内助の功は「配偶者の軽減」という非課税を使うことで適用できると押さえておきましょう。

 

なおこれらは預貯金だけでなく、保険や株・投信といった有価証券にもいえることです。

 

保険では、契約者は妻で、保険料を夫が負担している場合に該当します。この場合、原資が夫だと相続税の対象になります。現金を正しく贈与して、妻のお金として保険料を支払えば、この問題はなくなります。

 

そして夫のお金で妻の証券口座をつくり、そこで運用していた場合には、有価証券本体とそこから入ってくる配当金も原資が夫ということで、相続財産となる可能性があります。

 

いずれにしても、名義と原資が違っていると相続税課税の問題が起こります。贈与契約書を作成することや、110万円を超える場合に贈与税の申告をするなど、正しい手続きを踏む必要があります。

次ページ「“バレる”と思って」…早いうちからできる対策

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