(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続税・贈与税が一体化するのでは」と昨年末から話題となっています。先日発表された令和4年度の税制改正大綱では、一体課税の発表こそされていないものの、相続税・贈与税のあり方について「不断の見直し」を行っていく必要があると明記されました。なぜ一体化の議論がされているのか、辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が解説します。

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なぜ「相続税・贈与税」が見直されようとしている?

「相続税と贈与税の一体化」、および「暦年課税の廃止」が囁かれています。

 

なぜこれらが議論されているのでしょうか? キーワードは、「格差是正」と「資産の移転時期によらない中立的な税制」です。

 

現在、相続税・贈与税の税率はともに財産の額によって10%~55%となりますが、贈与税のほうが傾斜がキツく、一般的に税負担が多くなります。

 

しかし、相続財産が6億円を超えると相続税は55%かかるため、一度にもらう金額によっては贈与のほうが有利になります。1000万円なら17%で177万円、500万円なら9%で48.5万円、そして110万円なら0です。そこで、相続税で大きな額をとられるのを避けるべく、資産家の方々は生前贈与を進めてきました。

 

しかし、財産をもらう時期によって税率が変わってしまうのは問題ではないかということで、「生前にもらったものも含めて相続税に加算し、相続税として課税しよう」と議論が始まりました。これは昨年末に発表された令和3年度税制改正大綱より明らかです。

近い将来、変更が予想されるなか…今しかできない対策

暦年課税が廃止され、贈与についても相続時精算課税のようなかたちで相続税として課税されるのではないかと言われています。

 

よって、早いうちに、なるべく多くの暦年贈与をしておく、という対応が考えられます。

 

ちなみに令和2年度の与党税制改正大綱にも、「資産移転の時期の選択に中立な税制の構築と格差固定化を防止」と記載されています。つまり、2019年の段階から、こうなることが想定されていたということです。

 

なお、令和4年度税制改正大綱では、本格的な検討を進めるとも記載がありました。

 

現在、注目されていることとしては以下が挙げられます。

 

  1. いつから改正されるのか?
  2. 何年分持ち戻しになるのか?アメリカのように全てか、ドイツのように10年、フランスのように15年か
  3. 相続税の請求方式は法定相続分課税方式から遺産取得課税方式へ改正となるのか?

 

このあたりについては、まだまったくわからないため、今後の議論に注意していきましょう。

 

また、教育資金の一括贈与については条件付きで令和5年3月31日まで延長されています。その後の延長は無いとも言われているため、そちらも併せてご検討ください。

 

 

■動画でわかる「税制改正!?相続税・贈与税一体課税で暦年贈与がなくなる?」

 

 

 

辻・本郷税理士法人 シニアパートナー 税理士

山口 拓也

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