「ゆがんで見える」は要注意!欧米で失明原因トップの病気、「加齢黄斑変性」かも【セルフチェック付】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ちょっとした見え方の変化や違和感を、「年齢のせい」「たいしたことないだろう」と自己診断し、放置してはいませんか。目の疾患には、これといった自覚症状がないままじわりじわりと進行して、気付いたときには失明寸前になるものがいくつもあります。今回は「モノがゆがんで見えるとき」に考えられる病気について見ていきましょう。眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長・梶原一人医師が解説します。

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「モノがゆがんで見える」ときに考えられる2つの病気

【①欧米では失明原因トップの病気、「加齢黄斑変性」】

Q. ウチの母親が、最近「モノがゆがんで見える」っていうんです。

 

A. それは心配ですね。「モノがゆがんで見える」ときは、2つの病気の可能性があります。1つは「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」です。欧米では失明原因の1位となっていて、日本でも高齢化や食生活の変化などにより、患者数が増えてきています。

 

「黄斑部」は、網膜の中心、直径わずか1mm程度のとても小さい部位ですが、「視力」を担っている最重要部です(図表1)。黄斑部以外の網膜は、周りの「視野」を担っています。字が読めるレベルの高い解像度があるのは、この黄斑部だけです。

 

出典:梶原一人著『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より
(図表1)ここが「黄斑部」 出典:梶原一人著『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より

 

たとえば、街を歩いていて「何かの広告があるな」とわかるのが、網膜の「視野」の働き。その広告の方向に網膜の中心部である「黄斑部」を向けることで、初めて「視力」を発揮して字を読み、「不動産の広告か」とわかるのです。そのため、黄斑部に異常が生じると、ほかの網膜に問題がなくても著しく視力が低下して、モノが見えづらくなります。

 

この黄斑部に、加齢によって老廃物がたまってふくらんだりすると、波打ったスクリーンに映像を映すようにモノがゆがんで見える。これが「加齢黄斑変性」の1つの症状です。

 

もう1つの加齢黄斑変性の症状は、網膜の外側を包む「脈絡膜」から新生血管が伸びてきて、網膜の中に血液成分が漏れ出したり出血したりすることで、スクリーンである網膜にゆがみが生じるもの。これには新生血管を直接しぼませる画期的な注射薬ができて、劇的に症状が改善することがあるので、チャレンジする価値はあります。

 

Q. それらの症状は、老化が原因なのですか。

 

A. そうですね、「黄斑変性」は遺伝などの原因で発症することがありますが、「加齢黄斑変性」のほうは、年齢を重ねたことによる組織の変化だと考えられます。一般的には50歳以上に多く起こります。食生活の見直しとサプリメントで改善する場合もあります。

 

そのため、ちょっと見え方がおかしくても「老眼かな?」「たいしたことないだろう」と放っておかれがちです。本稿の最後にチェックシートがあります。40歳を過ぎたらこまめにチェックをして、ちょっとでもゆがんで見えたら眼科を受診してください。

 

【②原因不明なことも多い「黄斑前線維症」】

 

A. もう1つは、網膜の前にセロファンのような薄い膜が癒着して、スクリーンである網膜にゆがみが生じることで、モノがゆがんで見える「黄斑前線維症(おうはんぜんせんいしょう)」です。「黄斑前膜」とも呼ばれます。

 

眼球の中を満たすゼリー状の硝子体が変質して減少したとき、網膜に一部がとり残されることによって膜ができたり、網膜裂孔とともにできたりしますが、多くは原因不明です。この場合、自然に膜がはがれることはほとんどありませんが、多少のゆがみを自覚しても視力は低下しないことが多いです。視力が低下するほどの重症のゆがみに発展したら、手術したほうがいいケースもあります。

 

 

<モノがゆがんで見えたら…>

●老廃物がたまる場合は、生活習慣の改善やサプリメントの摂取が中心になる。

●ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種「ルテイン」に、加齢黄斑変性の進行を抑える働きがある。

●老廃物がたまるタイプの加齢黄斑変性の場合、ルテインのサプリメントの摂取で改善効果が期待される。

●血管が侵出してきている場合や「黄斑前線維症」にはサプリメントは効かない。

*「モノがゆがんで見える」ときは、原因がなんであるか眼科を受診

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長 

慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学研究員、スタンフォード大学リサーチ・アソシエート。日本人初のハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート奨学生。北里賞受賞。

1959年東京都品川区生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、臨床眼科学を学び眼科医に。現場で治せない多くの病気に直面し「根本的な治療法を考えたい」と1990年にハーバード大学に研究員として留学。在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表する。

1994年、スタンフォード大学医学部・神経生物学教室にリサーチ・アソシエートとして移籍。1995年、東京大学医科学研究所・化学研究部の客員研究員を兼任し、帰国後は理化学研究所脳科学総合研究センター(神経再生研究チーム・チームリーダー)。

2006年、「眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック」開設。最新鋭の検査機器を揃えて高レベルの医療を提供するだけでなく、米国で学んだ「患者さんの立場になって優しく心のこもったケアをする(TLC=Tender Lovely Care)」を実践し、口コミで患者さんが増加。整理券を配布しても行列ができる評判のクリニックとなっている。

著者紹介

連載名医が教える放っておくと怖い「目」の症状

※本連載は、梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

梶原 一人

ダイヤモンド社

痛くもかゆくもないのに失明寸前!?「ちょっと様子を見よう」が悲劇の始まり。 「モノがぼやけて見える」 「視力が下がってきた」 「目がかすむ」 そんな気になる目の症状を放置していませんか? 目の疾患には、これ…

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