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「かすみ目」の多くはドライアイが原因
■「まばたきする」「目を休める」「別の場所を見る」で改善するなら大丈夫
Q. 長時間仕事に打ち込んで「目を酷使したな」と感じたときなど、ときどき目がかすむことがあります。
A. 「目がかすむ」と訴える患者さんで一番多いのが、これも「ドライアイ」なんです。かすんで見えても、数回、まばたきするとピントが合うようであれば、ドライアイと考えていいでしょう。対策としては、まばたきをこまめにしたり、15分に1回程度、手を休めて目を10秒ほど閉じたり、保湿成分の入った目薬を指定の回数さしてみたりしてください。あとは、メガネやコンタクトレンズの度数が合っていない人も、ときどきいます。遠くはかすむけれど、近くのテレビ画面は見える。または、テレビ画面がかすんで見えるけど、ちょっと近寄ると見えるのであれば、よく見えるように設定した度数と見たいものがズレているだけでしょう。
一方で「白内障」や「緑内障」の可能性も…
Q. 「目がかすむ」というのは、何かの病気の可能性もあるのでしょうか?
A. 白内障でも「視界が全体的にかすむ」といった症状は現れます。
白内障は、目のレンズである水晶体が濁って見えにくくなる病気ですが、アトピー性皮膚炎や糖尿病などが原因の場合を除くと、ほとんどが加齢によって起こります。そのため、45歳以上の人に多く、80歳を超えるとほとんどの人が白内障を経験します。
しかし、白内障は決して怖い病気ではありません。なぜなら、どんなに症状が進んでも失明に至る病気ではなく手術で治るため、特殊な場合を除けば手遅れにはならないからです。手術では、濁った水晶体を超音波で砕(くだ)いて吸い出し、その代わりに人工の眼内レンズを入れます。手術は日帰りも可能です。
「白内障はどのくらい悪くなったら手術を受ければいいですか」とよく聞かれますが、見え方に不自由していなければ、ご自身で決めていただいて構いません。クルマを運転する人は、免許を更新できる視力がなくなる前に手術を受けたほうがいいでしょう。
Q. 目のかすみで白内障以外の病気も考えられますか。
A. はい、考えられます。白内障より恐ろしいのが、失明原因ナンバーワンの「緑内障」です。一般的に緑内障は、よく「視野が欠ける」病気だといわれますが、そう聞くと多くの人は、お皿の端が欠けるように、常に見えない部分が存在すると想像するでしょう。しかし実際は、ときどきかすんで見えると感じることや解像度が徐々に落ちるように全体的に見えづらくなることが多く、はっきりとした視野の欠けを自覚する頃には、緑内障が相当進んでしまっています。「目がかすむ」と感じる原因がもし緑内障であれば、すでにある程度進行している可能性が高いです。
●まばたきを数回するとピントが合うようであれば、ドライアイの可能性大。
●ドライアイの症状を軽減するため、こまめにまばたきしたり目を閉じたり、防腐剤の入っていない涙に近い成分の目薬を使ってみる。
●メガネやコンタクトレンズを装用している人は、度数が適切か確認。
●白内障が疑われる場合は、レンズの濁りがひどくなる前に眼科を受診。
●白内障は急ぐ必要はないものの、見えにくくて困る場合は手術を検討。
*目がかすむ場合、緑内障の可能性もあるので必ず眼科を受診