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ブルーライト対策は必要?
■結論:ブルーライトは気にしなくていい
スマホやゲーム機、パソコンの画面から発せられるブルーライトが「目に悪い」と、よくいわれます。
そのため、ブルーライトをカットするシールやメガネが数多く販売され、私もよく患者さんから「ブルーライトを除去するというグッズは使ったほうがいいのでしょうか?」と尋ねられます。
結論からいうと「ブルーライトは気にしなくていい」です。
私たちが目で見ることができるのは、400~780nm(ナノメートル)という単位の可視光線(波長の光)に限られています。
400nm以下の光(紫外線)、780nm以上の光(赤外線)は、目に見えない光「非可視光線」です。
ブルーライトは、380~500nmの波長を持ち、非可視光線の紫外線にも含まれています。いずれにしてもブルーライトは、「最新の電子機器から発せられる特別の光」ではなく、日常的に身の回りにあふれている光なのです。
ブルーライトと波長が近い紫外線は、浴びると日焼けをしたり、シミやシワの原因となったりします。
紫外線のように波長が短い光は、エネルギーが強く人体に影響を及ぼします。そのため、ブルーライトも目になんらかの悪影響があると考えられているのでしょう。
しかし、紫外線は人類が誕生する以前から地球に降り注いでいます。紫外線が強力な赤道付近に住む人たちは、みんな目の病気に悩んでいるかといえば、そんなこともありません。
私たちの目や体は、紫外線と共存し悪影響を最小限に抑えるための仕組みをいろいろと備えています。ですから、紫外線より少しだけ波長が長いブルーライトは、さほど気にすることはないのです。
あたり前の話ですが、基本的にどんな光も大量に目に入れば悪影響を及ぼします。波長の短い紫外線に近いものほど、理論的にはよくないというだけです。
パソコンやスマホの画面から発せられる微弱な光は、昼間の太陽光に比べたら、とるに足りない強さですから、過剰に反応する必要はないのです。
■とはいえ、「就寝する2時間前」までにはスマホ使用を切り上げるべき
ただ、波長が短い光には覚醒作用があります。そのためブルーライトを夜まで浴び続けていると、体内のリズムを乱して睡眠に影響します。そして、寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠の質を低下させて疲れが回復しづらくなってしまうのです。
私たちの体は、寝ている間に細胞が修復・再生されたり、脳が記憶や感情を整理したりして、毎日メンテナンスをしています。ところが、ブルーライトの影響によって睡眠不足になったりすると、このメンテナンスが乱れて全身に悪影響を及ぼします。
目だけでなく全身の健康のためにも、できれば眠りにつく2時間前までには、スマホを使うのを切り上げたほうがいいでしょう。