失明リスクが潜む場合も…「夕方になると見えにくい」の原因【眼科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

夕方になると、目がかすんで見えにくくなると感じたことはないでしょうか。目を酷使しがちな現代人にとっては「よくある症状」の一つですが、これらの症状をもたらす疾患は様々で、失明リスクもある深刻な病気が隠れている場合も…。一体、どのような病気が考えられるのでしょうか。眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長・梶原一人医師が解説します。

【関連記事】2つ以上当てはまったら要注意…失明リスクもある「実は怖い症状」をセルフチェック

「夕方になると見えにくくなる」原因は?

■ほとんどの場合は「ドライアイ」が原因

Q. 1日中パソコンの画面を見ているからかもしれませんが、夕方になると目がかすんで見えにくくなります。

 

A. ほとんどの場合、ドライアイが原因です。1日中、乾燥した部屋で目を酷使すると、目をおおう涙の膜が正常に働かず、角膜の表面が“すりガラス”のようになって、見えづらく感じることがあります。ときどき「朝から目がかすんで見えにくい」という人もいますが、そういう人は薄目を開けて寝ていることが考えられます。自分ではわからないので、家族に確認してもらうといいでしょう。

 

Q. とはいえ、薄目を開けて寝るクセは治せないのでは?

 

A. 寝るときにアイマスクをしてみるといいでしょう。それで症状が治まるようであれば効果があるので使用を継続。「朝起きたらはずれている」「アイマスクの跡が顔につくのがイヤだ」という人もいますが、市販のホットアイマスクは、はずれにくく跡もつきにくくできているのでおすすめです。眼科では寝ている間の乾燥を防ぐため、ビタミン入りの軟膏を使う治療もありますから、症状がつらい人は相談してみてください。

 

■まばたきしても改善しない場合は「初期の白内障」である可能性

Q. 暗くなってからクルマを運転すると、対向車のライトがまぶしくてドキッとすることがありますけど、これもドライアイが原因でしょうか。

 

A. その可能性は高いですね。まばたきをくり返すことで症状が改善するなら、ドライアイによる可能性が高いです。しかし、白内障の初期にも、まったく同じ症状が見られます。

 

白内障のタイプによっては、かすみやまぶしさよりも、薄暗くなってくると見えにくくなる場合もありますね。

一方で「深刻な病気」が隠れている可能性も…

■失明リスクもある難病、網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)

Q. では、暗がりで見えにくくても、深刻な病気は隠れていないと考えてもいいですか。

 

A. いいえ、遺伝子由来の病気の可能性もあります。

 

眼球の一番奥にある「網膜」は、目に入った光が像を結ぶスクリーンのようなもので、1億以上の「視細胞」が集まっています。

 

この細胞が外部から入ってきた“光の情報”を電気信号に変えて脳に送っているんです。この視細胞がだんだんと死滅して数を減らしていくのが、私が米国で研究していた「網膜色素変性症」という病気です。その初期症状の1つが「夕方になるとモノが見えにくくなる」、いわゆる「鳥目」(夜盲症)なのです。

 

日本では、およそ5000~5500人に1人の割合で発症しており、個人差はありますが長い時間をかけてゆっくりと進行します。

 

 

Q. 自分が網膜色素変性症だとわかったら、どうすればいいのでしょうか。

 

A. 網膜色素変性症は、いまだにわからないことが多い病気です。各国の機関で研究が進められていますが、原因遺伝子が特定されているのは一部にすぎません。「アダプチノール」という暗がりで目が慣れる速さを改善する薬がありますが、根本的な治療薬ではありません。

 

ハーバード大学のグループによって1990年に「網膜色素変性症」の原因遺伝子が初めて発見されましたが、この遺伝子の異常で網膜色素変性症になるのは、ほんの2%だけで残りの98%の人は、別の遺伝子異常を持っていることが明らかになりました。

 

2番めに遺伝子異常を解明した私の研究が1991年の英科学誌『ネイチャー』に掲載されて、3番めの遺伝子も私が発見したのですが、2番めと3番めの遺伝子異常の両方を半分ずつ持っている人が、この病気を発症することをはっきりと証明したので、この論文は米科学誌『サイエンス』に発表しました。

 

こうした地道な研究の積み重ねで病気のことが少しずつわかってくるのです。

 

<夕方になるとモノが見えにくくなる人は…>

⇒まずは原因がドライアイなのか白内障なのか「網膜色素変性症」ではないか、はっきりさせる。

 

*眼科受診後、見えにくくなる理由によって、涙液型の目薬を使用したりメガネやコンタクトレンズを使う。

 

 

梶原 一人

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長

 

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長 

慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学研究員、スタンフォード大学リサーチ・アソシエート。日本人初のハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート奨学生。北里賞受賞。

1959年東京都品川区生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、臨床眼科学を学び眼科医に。現場で治せない多くの病気に直面し「根本的な治療法を考えたい」と1990年にハーバード大学に研究員として留学。在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表する。

1994年、スタンフォード大学医学部・神経生物学教室にリサーチ・アソシエートとして移籍。1995年、東京大学医科学研究所・化学研究部の客員研究員を兼任し、帰国後は理化学研究所脳科学総合研究センター(神経再生研究チーム・チームリーダー)。

2006年、「眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック」開設。最新鋭の検査機器を揃えて高レベルの医療を提供するだけでなく、米国で学んだ「患者さんの立場になって優しく心のこもったケアをする(TLC=Tender Lovely Care)」を実践し、口コミで患者さんが増加。整理券を配布しても行列ができる評判のクリニックとなっている。

著者紹介

連載名医が教える放っておくと怖い「目」の症状

※本連載は、梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

梶原 一人

ダイヤモンド社

痛くもかゆくもないのに失明寸前!?「ちょっと様子を見よう」が悲劇の始まり。 「モノがぼやけて見える」 「視力が下がってきた」 「目がかすむ」 そんな気になる目の症状を放置していませんか? 目の疾患には、これ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
TOPへ