失明リスクが潜む場合も…「小さい文字が見えにくい」の原因【眼科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「小さい文字が見えづらい」と感じたことはないでしょうか。近くが見えにくくなる状態としては、老眼や遠視などが考えられますが、失明リスクのある怖い病気が見つかるケースもあるのです。なぜ見えにくくなるのか、対処法や受診すべきケースとはどのようなものか。眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック院長・梶原一人医師が解説します。

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小さい文字が見えにくくなった…何が原因?

■手元から遠方へ、遠方から手元へ…「視線を移すと見えづらい」なら老眼

Q. 最近、細かい字がすごく見えづらいんです。

 

A. 遠くにある看板などは見えますか?

 

Q. はい、特に問題ありません。

 

A. 「近くの字だけが見づらくなる」という病気はありませんから、それは単なる「老眼」ですね。

 

遠くから近くを見たり、反対に本などを読んでいて、ふと遠くを見たりしたとき、ピントを合わせるのに時間がかかることがあるでしょう。そうであれば、間違いなく老眼です。

 

目のレンズである「水晶体」は、遠くのモノを見るときは薄くなり、近くを見るときは厚みを増してピントを合わせます【図表】。しかし、誰でも年齢を重ねると水晶体が次第に硬くなり、弾力がなくなるのでなかなか厚みを調整できなくなります。すると、近くが見づらくなる「老眼」になるのです。

 

出所:梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より引用
【図表】目の「ピント合わせ」のしくみ 出所:梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より引用

 

同じ水晶体の問題でも、透明性がカギを握る白内障の場合、早いと40代で白く濁る人もいれば、90歳になっても平気な人がいるほど個人差があります。一方、水晶体の弾力は個人差はあるものの、年齢にほぼ比例します。50代の後半にもなれば、老眼は確実に誰のもとにも訪れるのです。

 

Q. やっぱり…。近視の人は老眼になりづらいというのは本当ですか。

 

A. いいえ、水晶体の老化は、すべての人に同じように起こりますから、近視の人も例外ではありません。近視の人が、メガネやコンタクトレンズをして、遠くがよく見えるように視力を矯正している場合は、「小さい文字が見づらい」と感じるはずです。

 

ただし、軽い近視の人でメガネやコンタクトレンズをしていなかったり、していても度数が弱かったりする場合は、そもそも近くにピントが合っているので、老眼を自覚しづらいかもしれませんね。

「老眼の進行を遅らせる方法」はない

■「老眼鏡をかけると、老眼が進行する」は誤り

Q. 老眼の進行を遅らせることはできないんですか?

 

残念ながら、加齢にともなう生理現象ですから、進行を遅らせたり治療をしたりすることはできません。老眼鏡をかけて視力を矯正するしかありませんね。

 

Q. 「老眼鏡をかけると、老眼がどんどん進む」というのは本当ですか。

 

A. それは都市伝説のようなものですよ。多くの人は、老眼になったことを自覚したくなくて、老眼鏡をかける時期をできるだけ遅らせたりします。そして、どうしようもなくなった頃に、やっと弱めの老眼鏡をかけ始めるので、すぐに強めの老眼鏡が必要になるのでグッと進んだような気になるのでしょう。見えにくい状態で生活を送っていると、目に疲れがたまりますし、集中力も衰えます。「小さい文字が見えづらい」と感じたら、早めに老眼鏡や遠近両用のメガネを活用したほうがいいです。

 

最近では、メガネのレンズも進化していますから、昔のように度数の違うレンズを2枚組み合わせた境目のあるものではなく、境目がなく快適で外見上、遠近両用とは気づかれないものがあるのでおすすめです。遠近両用のコンタクトレンズも非常に使いやすく改良されていますから、そちらを使ってみるのもいいでしょう。

 

私のクリニックでは、性能がよいと判断したメーカー2社の使い捨てワンデータイプの遠近両用コンタクトレンズをすすめていますが、とても評判がいいですよ。

 

■ただし、「近くをみているときだけ違和感がある」なら緑内障の可能性も…

 

老眼ではないのに、近くを見ているときだけ「なんだか見え方がおかしい」ということに気づく患者さんがときどきいます。一般的にはあまり知られていませんが、緑内障で病気が重症化したとき、近くを見ているときだけ異常を感じる患者さんがいます。

 

緑内障は視野が欠ける病気として知られていますが、実際に「視野欠損」を自覚する人は、とても少ないです。しかし、近くを見ているときに、文字の一部が見えづらいとか、見ている文字の周りの文字が見えにくいということには気づける人がいるので、緑内障の発見に大いに役立っています。私は「こういうときは、どう見えますか?」と細かく質問しながらお話しすることが多いので、患者さんの見え方にいろいろと気づきます。

 

<小さい文字が見えにくいと感じたら…>

⇒40歳以上であれば、老眼と考えて早めに老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズの使用を検討。老眼になるには早い年齢なのに、小さな文字が見えにくいと感じたら、緑内障が進行している可能性も。

*老眼の可能性が低い年代なら眼科を受診。

 

 

梶原 一人

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長

 

眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック 院長 

慶應義塾大学医学部卒。ハーバード大学研究員、スタンフォード大学リサーチ・アソシエート。日本人初のハワード・ヒューズ・メディカル・インスティテュート奨学生。北里賞受賞。

1959年東京都品川区生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、臨床眼科学を学び眼科医に。現場で治せない多くの病気に直面し「根本的な治療法を考えたい」と1990年にハーバード大学に研究員として留学。在職中に世界で最も権威のある科学雑誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文を発表する。

1994年、スタンフォード大学医学部・神経生物学教室にリサーチ・アソシエートとして移籍。1995年、東京大学医科学研究所・化学研究部の客員研究員を兼任し、帰国後は理化学研究所脳科学総合研究センター(神経再生研究チーム・チームリーダー)。

2006年、「眼科 かじわら アイ・ケア・クリニック」開設。最新鋭の検査機器を揃えて高レベルの医療を提供するだけでなく、米国で学んだ「患者さんの立場になって優しく心のこもったケアをする(TLC=Tender Lovely Care)」を実践し、口コミで患者さんが増加。整理券を配布しても行列ができる評判のクリニックとなっている。

著者紹介

連載名医が教える放っておくと怖い「目」の症状

※本連載は、梶原一人氏の著書『放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25

梶原 一人

ダイヤモンド社

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