(※写真はイメージです/PIXTA)

「新築同様にフルリフォーム完了」と謳われた築45年のマンションを購入した買主。しかし、排水管が交換されておらず、詰まりが発生していることが判明しました。買主は排水管の交換費用を売主に賠償してもらえるのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際の裁判例をもとに解説します。

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築古物件の排水不良は「隠れた瑕疵」といえるか

【中古マンションの売主】

当社は、築約45年のマンションを購入し、フルリフォームして、1480万円で売却しました。

 

しかし、売却後まもなく、買主からは

「台所の流し台に洗い桶1杯分程度の水を流すと、残飯や汚水が逆流する排水不良が発生する。専門業者にその原因を調査させたところ、本件建物の排水管に詰まりが発生していることが判明した。これは瑕疵だから排水管の交換費用を賠償してもらいたい」

という連絡が来ました。

 

当社としては、これは経年劣化が理由であり、瑕疵担保責任は負わないと考えていますが、このような主張は認められるでしょうか。

 

【説明】

 

不動産の売買において、土地や建物に不具合や欠陥がある場合、民法五七〇条により損害賠償請求や、場合によっては契約の解除が認められます(これは、以前は「瑕疵担保責任」と言われていましたが、民法改正により、これは「契約不適合責任」と言われることとなりました)。

 

本件は、東京地方裁判所平成28年4月22日判決の事案をモチーフにしたものですが、当時は改正前の民法が適用されるため、本件においては、築約45年のマンションについて、排水管における不具合が「隠れた瑕疵」といえるか、という点が問題となりました。

 

ここで旧法における「隠れた瑕疵」とは

 

「売買の目的物に民法五七〇条の瑕疵があるというのは、その目的物が通常保有すべき品質・性能を欠いていることを言う。」

 

とされています。

 

これを本件に当てはめて言えば

 

「売買目的物である本件物件について合意された品質と性能は、築45年の分譲マンションが通常有する程度のものであったということができ、本件契約に関する民法570条の「瑕疵」の該当性も、そのような品質性能を欠いているか否かという観点から判断すべきである。」(東京地方裁判所平成26年1月15日判決参照)

 

ということとなります。

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを抜粋・再編集したものです。

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