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「父も私も日本生まれ」でも韓国の民法が適用される?
■相続法の日韓における制度の違い(準拠法)
日韓の相続のシーンでは、次のような質問をよくいただきます。
「私は在日韓国人ですが、亡くなった父も私も日本生まれで、生まれてずっと日本で生活しています。韓国には墓参りや旅行に行った程度であり、韓国語も話せず、ハングルを読むこともできません。できれば日本の法律で相続したいと思いますが、できるでしょうか?」
この答えですが、亡くなられた方の国籍が韓国籍であれば、日本の民法で相続の手続きをしたいと思っても、そのようにはできず、原則として、韓国の民法が適用されることになります。
韓国との関わりも少なく、日本で育ち、日本語しか話せない相続人にしては、韓国法を適用するということ自体に違和感がありますが、亡くなった方の国籍が韓国であれば、韓国法が適用されます。
「当事者が2つ以上の国に関係する場合」法律を見ると
在日韓国人の方は、国籍は韓国で居住地は日本です。
このように、法律問題の当事者などが2つ以上の国に関係する場合、どの国の法律を適用するかは、日本では「法の適用に関する通則法」が定められています。
その36条によると、「相続は、被相続人の本国法による。」とされています。被相続人の本国というのは、亡くなられた方の国籍のことを指します。したがって、亡くなられた方の国籍が韓国籍であれば韓国の民法の適用を受けることになります。
次に、適用される準拠法を規定した韓国の「国際私法」をみてみると、その49条1項は「相続は、死亡当時の被相続人の本国法による。」とされています。そのため、原則として韓国法が適用されることになります。
このように、国籍が韓国である場合、原則として韓国の民法が適用されるのです。