(※写真はイメージです/PIXTA)

会計を嫌う・苦手とする社長には「お金の使い方」に共通点があります。利益を生み出しているかどうか判然としない無駄遣いを繰り返すばかりか、多額の使途不明金の発生もあります。会計の管理の悪さを放置した結果、社内で不正が行われている可能性もあり、十分な注意が必要です。会計につまづきがちな経営者の問題点について、中小企業の実情を知り抜く税理士・公認会計士がズバリ解説します。

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会計が苦手だと「会社の資金管理」がルーズになりがち

会計嫌いの社長の共通点①…無駄遣いが多い

会計嫌いの社長の会社に共通することは、「お金の使い方」にあります。

 

とにかく、無駄遣いが多いのです。家計と同じく、会社においても無駄遣いは最大の敵です。代表的な無駄遣いを挙げてみます。

 

●売れない商品をどんどん仕入れる

●使いこなせない最新設備に投資をする

●売上につながらない相手を接待する

●効果の出ない広告費用をかけ続ける

●人が足りているのに、社員を雇う

●必要以上にお金を借りて、金利を払う

●思いつきで始めた新規事業で、損失を重ねる

 

社長による公私混同が起きるのも、中小企業によくあるケースです。

 

ゴルフや飲食、旅行など、会社のためなのか、社長のプライベートのためなのか、はっきりしない支払いがあります。そうした支払いが、会社の利益につながるならいいのですが、単なる社長の楽しみのためであれば、よくありません。

 

会計嫌いの社長の共通点②…少なくない「使途不明金」が発生している

それでも、「なにに使ったのか」が分かるだけでもマシかもしれません。

 

会計嫌いの社長の会社では、使いみちが不明なお金「使途不明金」が少なからずあります。会社の預金などから確かに出金をしていることは把握できても、そのお金の行き先を追うことができません。

 

法人税のルールでは、こうした使途不明金は損金として差し引くことができません。例えば使途不明金が100万円あったとして、その出費はないものとして扱われますので、余計に税金を負担することになります。さらには、脱税の疑いをかけられる可能性も高まります。

 

使途不明金が発生するのは、端的にいえば「雑な会計」をしているからです。普段から取引などを書面などで残し、会計を記録することが徹底されていないから、増えていくわけです。

 

「小規模な不正」は、多くの中小企業で起きている!?

このような状態が続けば、いずれ起きてしまうのが「社内の不正」です。

 

時々、巨額の横領事件が報道されることがありますが、2020年には、ある中小企業の経理担当が、会社から億単位の資金を横領し、ブランド品や不動産の購入に使っていたことがセンセーショナルに報道されました。

 

報道によると、横領は15年以上にわたって行われており、その会社では会計業務を一人に任せきりという状態だったそうです。社内で自分以外が経理や会計のルールを知らないという環境にあって、その経理担当は、不正な経費精算をしたり、ほかの従業員に支払われるはずのボーナスの一部を着服したりと、まさに好き放題に会社のお金を動かしていました。

 

このように報道されるケースはごく一部で、小規模な不正は全国の多くの中小企業で起きているはずです。おそらくほとんどが発覚することなく、会社の資金を圧迫し続けてしまいます。

 

横領などの不正は、もちろん不正をはたらく人が悪いのですが、社長にも大きな責任があります。社長が会計をきちんと見ていれば、会社のお金の動きのおかしな点にすぐに気がつくはずだからです。

 

会社でこうした不正が起きたら、その損失は取り返しがつきません。失われたお金は、たいていは発覚時点で使われていますから、裁判で訴えたところで、ほとんど返済されません。社員が汗水たらして稼いだお金が、このような形で失われるのは、本当に許しがたいことです。

 

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本記事は『たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

小形 剛央

幻冬舎MC

「会計」と聞くと、「面倒だけどやらなくてはいけないもの」というイメージを持つ人は少なくないはずです。 税務申告のため、融資を受けるため、売上や利益の金額を確認するため…。会計の役割をそういったものだけだととら…

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