2021年10月分景気動向指数(速報値) (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+1.9の4ヵ月ぶりの上昇、一致CI+1.2と4ヵ月ぶりの上昇

 

基調判断は「足踏みを示している」が継続。「改善」に戻るのは早くても1月分

 

 

 

●10月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.9と4ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差プラス寄与度に、マネーストック1系列が前月差寄与度ゼロに、東証株価指数の1系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●10月分の一致CIは前月差+1.2と4ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、輸出数量指数の5系列が前月差プラス寄与度に、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列が前月差マイナス寄与度になった。10月は、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大に伴う部材供給不足の影響などが緩和されたことや、9月末まで発出されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたことがプラスに働いた。

 

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、前回9月分では「足踏みを示している」に下方修正された。

 

●今回10月分では「足踏みを示している」の判断が継続となった。10月分は一致CIの前月差が上昇だが、10月分の3ヵ月後方移動平均・前月差が▲1.36と、1標準偏差分の▲1.00を上回る下落幅になった。「改善」に戻るためには、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇」という条件があるため、11月分で3ヵ月後方移動平均・前月差が上昇に転じたとしても、3ヵ月連続になるのは早くて3月8日発表の1月分である。先行きを楽観的に予測しても、しばらく「足踏み」の判断が継続することになろう。

 

 

●10月分の先行DIは44.4%と景気判断の分岐点の50%を2ヵ月ぶりに下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の4系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの5系列がマイナス符号になった。

 

●10月分の一致DIは6.3%と4ヵ月連続して景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、有効求人倍率の1系列が保合いに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の7系列がマイナス符号になった。

 

●12月23日発表予定の10月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は12月13日である。また在庫率関連データが12月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●10月分景気動向指数・改訂値で労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比▲0.3%の減少であることが判明している。一方、総実労働時間指数(調査産業計)は毎月勤労統計・速報値の前月比は+0.5%の増加であることが判明している。10月分確報値は12月22日に発表される。また、生産指数関連データが12月14日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく12月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●11月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス、消費者態度指数1系列が前月差横這いである。

 

●また、11月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がプラス符号に、中小企業売上げ見通しDIの1系列がマイナス符号になることが判明している。11月分速報値段階の先行DIは33.3%以上88.9%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年10月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2021年12月7日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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