(※写真はイメージです/PIXTA)

ビールが増税されると、メーカーは発泡酒、増税されると第三のビールを作って対抗。2020年の酒税法改正でようやく3種類の税額が統一(猶予期間あり)。結局、得したのは誰なのか。※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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    1994年の酒税法改正までビール規制が

    酒類の製造や販売は免許制です。免許の取り扱いや酒類の定義、分類などは酒税法に定められています。平成6年(1994)の酒税法改正までは、地元の小さな酒蔵がビールを作ることは規制されていました。酒税法には、色々な種類のお酒について年間の最低製造量が定められています。定められた量を下回る製造量の場合は免許が受けられません。

     

    ビールの場合は、改正前の年間最低製造量が2000キロリットルと定められていました。大手メーカーでなければ、なかなか製造が難しい量です。この基準が法改正で60キロリットルに大きく引き下げられたことで、大規模な事業者以外の酒蔵でもビールを作って販売できるようになったのです。

     

    現在では、全国各地で多種多様なビールが作られ、消費者も好みに合わせて楽しめるようになっています。ある程度大きな企業の作っている種類だけでは、趣味嗜好に必ずしも合ったものが手に入らないという人でも、自分の好きなものが選べるようになったのです。

    年間最低製造量の引き下げは、規制緩和です。大手でなければ難しかった事業に新しい事業者がどんどん参加できるようになったことで、新しい製品が生み出されたということです。

     

    全国の地ビールメーカーが集まった団体、JBA(全国地ビール醸造者協議会)は、地ビールを次のように定義しています。

     

    1.酒税法改正(1994年4月)以前から造られている大資本の大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。

     

    2.1回の仕込単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで行い、ブルワー(醸造者)が目の届く製造を行っている。

     

    3.伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。

    (全国地ビール醸造者協議会 http://www.beer.gr.jp/local_beer/)

     

    最初に紹介した「ビール純粋令」が原料を限定しているのに対して、地ビールは色々な原材料を使って作れることが特徴です。製品そのものの規制という意味では、ビール純粋令という500年前の規制強化にならって作られてきたものが、日本でようやく緩和されたことになります。

     

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    無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

    無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

    渡瀬 裕哉

    ワニブックス

    現在の日本の政治や経済のムードを変えていくにはどうしたらよいのでしょうか。 タックスペイヤー(納税者)やリスクを取って挑戦する人を大事にする政治を作っていくことが求められているといいいます。 本書には「世の中に…

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