「売れない商品」をいっぱい揃えると「なぜか儲かる」ワケ 「かたいカボチャの皮もむけちゃう最強ピーラー」とPOPを付けて販売、すると。

料理道具を使い比べて得た「知識」、お客一人ひとりの要望に応えられる過剰な「品揃え」、「売れ筋」ではなく、希少価値の高い「売れな筋」のラインナップ…。料理道を扱う飯田屋は世界中を探しても見つけられないユニークな店づくりを目指すという。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

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「ヒントノート」は最強の仕入れツール

「18㏄が量れるお玉はありますか?」
「左利き用のキッチンバサミはありますか?」
「絶対に垂れない醤油差しはありますか?」

 

日々、たくさんのお問い合わせをいただきます。もちろん、どんな商品でもあるというわけではなく、在庫がないものはお取り寄せなどの対応をしています。

 

飯田屋には、お問い合わせをいただきながら在庫がない商品を「ヒントノート」に書き込むルールがあります。20年以上も前に母が始めた仕組みで、お客様との会話の中から得た情報や問い合わせなどを書き留めたノートです。

 

売れな筋を仕入れようと決めると、このヒントノートがとても役立ちました。なぜならそこに書かれているものは、間違いなく誰かが必要としていて、「買いたい」と思う人の顔が見える商品だからです。

 

道具は使わなければ、本当のよさを知ることはできないという。
道具は使わなければ、本当のよさを知ることはできないという。

 

 

ヒントノートの精度を上げるため、料理道具に関するお問い合わせだけを書くように徹底し、2度書かれた商品は仕入れるルールにしました。ときには「本当に欲しい人がいるの?」と思うようなものが書かれることもあります。

 

しかし、それで売れ残った商品はなく、消化率は驚異の100%! 仕入れ担当者が吟味した商品よりも、ヒントノートで仕入れたもののほうが圧倒的に売れるのです。

 

ヒントノートによって、圧倒的なアイテム数を仕入れたカテゴリーの一つがフライパンです。今では「飯田屋といえばフライパン」と言われるほど代表的な商品となりました。

 

「手入れが簡単なもの」「軽くて持ちやすいもの」「収納場所をとらないもの」など主婦の目線からの要望に加え、「耐久性に優れたもの」「オーブンに対応できるもの」「肉をうまく焼けるもの」などプロの目線からの要望まで、問い合わせの多いアイテムでした。ヒントノートに書かれるたび、要望を叶える商品はないかと探しては仕入れました。

 

すると、僕たちの知識レベルも向上していることに気づきました。ヒントノートは優れたバイヤーであると同時に、最高の学びの機会を与えてくれる先生なのです。

 

今では、ヒントノートは仕入れに欠かせないものとなっています。

 

世の優秀なバイヤーたちからは、「お客様の声を鵜呑みにするのは危険だ」「飯田屋さんの仕入れは挑戦的だ」と言われます。たしかに売れ筋を狙うための仕入れならば、この方法は危険かもしれません。

 

でも、僕たちは違います。10万人のうち1人でも歓喜してくれる商品を仕入れられればいいのです。1人のお客様のニーズは、必ずほかのお客様のニーズにもつながります。

 

また、ヒントノートに書かれるニーズは明確な理由を含んでいるため、売れる理由がわかりやすいのも特長です。「重さが軽いフライパン」とヒントノートにあれば、「重さが軽い包丁はないだろうか」「軽い力でつかめるトングはないか」と、ほかのカテゴリーにもそのヒントを応用できます。

 

つまり、飯田屋は挑戦的な仕入れをしているように見えて、ニーズが明確な商品をヒントノートから読み解いているだけなのです。ヒントノートを基に仕入れて、売れ残った商品は一つもありません。

 

だからこそ、「お客様の声を聞くことがいかに大切か」は、いつも飯田屋のみんなで共有しているテーマなのです。

株式会社飯田代表取締役社長

大正元年(1912年)に東京・かっぱ橋で創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」6代目。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」など多数のメディアで道具を伝える料理道具の伝道師としても活躍。自身が仕入れを行う道具は必ず前もって使ってみるという絶対的なポリシーを持ち、日々世界中の料理人を喜ばせるために活動している。監修書に『人生が変わる料理道具』(枻出版社)。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。

著者紹介

連載浅草かっぱ橋商店街で営業方針は「売るな」で大繁盛

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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