2021年7~9月期法人企業統計・設備投資などについて (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+2.2%、1.4ポイント増加率鈍化

 

GDP第2次速報値で設備投資が下方修正、在庫変動が上方修正要因か

 

 

21年7~9月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+2.2%と、4~6月期の前年同期比+3.6%から1.4ポイント伸び率が鈍化したが、2四半期連続の増加になった。4~6月期で前年同期比+4.4%の増加だった製造業は、7~9月期では同+1.3%の増加へと3.1ポイント鈍化した。非製造業は4~6月期で前年同期比+3.2%の増加だったが、7~9月期で同+2.7%の増加と0.5ポイント伸び率が鈍化した。

 

7~9月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は▲1.1%と3四半期ぶりの減少になった。製造業は▲1.5%と3四半期ぶりの減少になった。非製造業は▲0.3%と2四半期ぶりの減少になった。

 

なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は7~9月期で▲2.6%と3四半期ぶりの減少になった。製造業は▲1.7%と3四半期ぶりの減少に、非製造業が▲3.0%と5四半期ぶりの減少になった。

 

法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で7~9月期の全産業の前年同期比は+1.2%で4~6月期の+5.3%と比べ4.1ポイント伸び率が鈍化した。資本金別の内訳をみるとまちまちで、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲1.6%の減少と、4~6月期の+0.4%の増加から2.0ポイント悪化した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+1.3%の増加と、4~6月期の▲4.9%の減少から6.2ポイント改善した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+7.5%と、4~6月期の前年同期比+23.7%からは増加率が16.2ポイント鈍化した。

 

供給サイドのデータに基づいて算出した7~9月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+3.4%と2四半期連続の増加になった。1~3月期の+4.6%の増加から1.2ポイント鈍化した。法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は4~6月期から7~9月期にかけ1.4ポイント鈍化した。両者の鈍化幅の乖離は0.2ポイントだ。

 

7~9月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、7~9月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+4.5%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+12.0%であると公表されているが、7~9月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+10.3%となり、仮置き値より1.7ポイント小幅の増加率になった。

 

7~9月期GDP第2次速報値の設備投資では、法人企業統計が下方修正要因になるが、断層補正も抑制要因となるとみられる。また、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動態統計9月分確報値からみて僅かに下方修正要因になるとみた。季節調整替えの影響はあるものの、総合的に判断し、第2次速報値の名目設備投資は前期比▲3.0%程度と、第1次速報値の同▲2.9%から下方修正され、第2次速報値の実質設備投資は前期比▲3.9%程度と、第1次速報値の同▲3.8%から下方修正されるとみた。

(民間在庫変動)

法人企業統計の仕掛品在庫をみると21年7~9月期は1兆5,732億円で20年7~9月期の4,607億円から+1兆1,126億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は21年7~9月期は9,746億円で20年7~9月期の▲283億円から+1兆29億円の増加となった。合わせて+2兆1,155億円、前年同期に比べ増加した。

 

一方、21年7~9月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は384億円で20年7~9月期の2,017億円からは▲1,633億円の減少であった。21年7~9月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は流通在庫、次のマイナス寄与は原材料在庫、そして仕掛品在庫がプラス寄与で、一番大きなプラス寄与は製品在庫ということだ。

 

今回の法人企業統計からみると、原材料在庫はプラス寄与に転じる可能性があろう。GDP第2次速報値で、今回の法人企業統計はGDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.1%から0.0%程度になりそうだ。

(21年7~9月期GDP・第2次速報値予測)

12月8日に発表される21年7~9月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

21年7~9月期GDP第2次速報値では、法人企業統計から判断し、実質設備投資は前期比▲3.9%程度と、第1次速報値の同▲3.8%から下方修正になると予測した。なお、今回の第2次速報値では、R&D推計における基礎統計など基礎データが一部変更になる影響や、季節調整の異常値処理の影響なども出よう、一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の+0.3%から+0.4%程度に上方修正になるとみた。

 

また、公共工事出来高の前年比は7~8月分平均が▲1.9%だったが、7~9月期の前年同期比は▲3.8%と減少率が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲2.8%程度の減少と第1次速報値の▲1.5%から減少率が拡大すると予測する。

 

21年7~9月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲0.8%程度、前期比年率▲3.2%程度を予測する。第1次速報値の前期比▲0.8%程度、前期比年率▲3.0%から若干下方修正となろう。設備投資、公共投資が下方修正要因、民間在庫変動が上方修正要因になるとみた。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年7~9月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2021年12月1日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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