実際に計算すると…基礎控除額をいくら超えている?
では、ここまでを整理して計算してみましょう。
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●財産に非課税枠1,500万円を引いた死亡保険金を足した合計額から葬儀費用など300万円を差し引いて、それが基礎控除額を超えるかどうかです。
7,000万円+(2,000万円-1,500万円)-300万円=7,200万円 >4,800万円
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この場合、基礎控除額4,800万円を2,400万円ほど超えているので、お亡くなりになった日の翌日から10ヵ月以内に、相続税の申告と納付が必要になります。
基礎控除額を超えていなければ相続税の対象とならず、申告も納付も不要ということになります。この場合、現金預金や自宅などを相続しても相続税はかからないということになります。
もちろん、所得税など他の税金もかかりません。後日、税務署から「相続税についてのお尋ね」が送られてきても、相続税がかからないと回答するだけです。
相続した不動産の名義変更はどのように行う?
相続した不動産の登記についてはこれまで、相続税の申告のようにいつまでに登記しないといけないという期限はありませんでした(固定資産税については、2020年度の税制改正で、相続人となって3ヵ月以内に都税事務所や市区町村役場に固定資産現所有者申告書の提出を求められるようになりました)。
しかし、名義の変更をしないまま放置されている不動産が相当あり、2021年4月の通常国会で不動産登記法等の改正法案が成立・公布され、2024年をめどに名義変更が義務化されることになりました。
(施行日前の相続から適用されるものがありますから、注意が必要です)
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【改正の概要】
1.相続により所有権を取得した不動産の3年以内の移転登記の義務化。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料(改正不動産登記法)。
2.土地所有権の国庫帰属制度の新設。建物がなく担保権や土壌汚染がないのが原則。10年分の負担金が必要(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)。
3.不動産所有者の氏名、住所の変更の2年以内の登記の義務化。正当な理由なく申請を怠ると5万円以下の過料(改正不動産登記法)。
4.相続開始後10年経過した遺産分割の制限(改正民法)。
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