(※写真はイメージです/PIXTA)

「うちには財産が少ないからもめない」と言う方が多いのですが、実際には財産が少ない家庭ほどもめる可能性が高くなるようです。「争族」になるのを防ぐため残しておくべき、遺言書やエンディングノート、その他「ID・パスワード」などについて、税理士の追中徳久氏が解説していきます。 ※本連載は書籍『保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート』(ぎょうせい)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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あまり利用されていない「遺言書」だが…“手軽”に変化

遺言には、大きく分けて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。

 

2017年度の法務省の調査によると、55歳以上で自筆証書遺言を作成したことのある人は3.7%、公正証書遺言を作成したことのある人は3.1%となっています。あわせても6.8%と少ないです。

 

遺言書(自分の大切な財産をどう相続人に引き継ぐかの遺言者の意思表示)があれば、原則として遺言で指定された人が遺産を取得します。しかし、遺言書はまだあまり利用されていないため、法定相続人が協議して遺産分割を行うことが多いです。

 

 

遺言は、遺言者の意思が財産分割に反映され、相続人間の争いが避けられるもっとも有効な手段です。

 

「争族」になるのを防ぐため遺言書を作成しておくことは大切です。

 

特に、夫婦間に子どもはいないが兄弟姉妹がいる人、内縁関係の妻がいる人、独身や身寄りのない人、事業承継をスムーズにしたい人の場合は遺言書を作成することをおすすめします。「全財産は妻に相続させる」でもいいのです。

 

遺言書

 

2020年7月10日から、法務局での自筆証書遺言の保管制度が開始されました。2021年1月までに、13,751件の保管実績がありました。自分も利用してみましたが、意外と簡単です。

 

これは、3,900円の手数料で、法務局で自筆証書遺言を形式的にチェックしてもらった上で保管してもらえる制度です。公正証書遺言の方が確実性は高いのですが、手数料が比較的高いこと、証人が2人必要なことから使いにくかったのです。

 

自筆証書遺言の保管制度は手軽で、かつ、家庭裁判所の検認が不要という大きなメリットがあります。ぜひ、活用してください。

 

なお、遺言の内容を変えたい場合は、遺言の形式に関わらず、日付の新しい遺言書を作成すれば、内容が抵触する部分について日付の新しい部分が常に優先されるものとされます。

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保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

追中 徳久

ぎょうせい

相続税の不安を解消! 保険契約者からの実際の相談をベースに、人生100年時代=老老相続に備えるための相続手続について解説。 生命保険の一定金額は、支払時に所得控除、受取時に非課税となるのをご存じですか? 度重な…

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