(※写真はイメージです/PIXTA)

腎不全が進行すると、人工的に血液の浄化を行う「人工透析」治療の必要に迫られます。透析が必要となる手前では、医師から食事制限を課されることになりますが、どのくらいまで減らさなければならないのか…?と疑問を抱いている患者さんも多いようです。ここでは、リンにまつわる「腎臓病患者が食事で気をつけたいこと」について、腎臓内科医・南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説していきます。

糖尿病患者が食べることの多い「豆腐」にもリンが…

患者さんのなかには、「豆腐もリンが含まれているからいけないの?」と気にする人がいます。豆腐は比較的カロリーが低いので、糖尿病の人がご飯を制限する代わりに豆腐を食べている、ということも多く、そのような人がリンを控えるように、と言われて、食べるものがなくなってしまう、と困惑してしまうことも多いようです。

 

しかし、そこまで気にする必要はない、と私は考えます。

 

植物性タンパク質を主とする豆腐に含まれるリンは、動物性食品と比べても吸収率が低いからです。

 

豆腐100gのリン含有量は、絹ごしか木綿かによっても違いますが、だいたい100mg前後です。水分が多い分重量があるため、リンの量も多く思われがちですが、100gあたりで比べれば、例えば豚肉(ロース肉 180mg程度)やまぐろ(赤身 270mg)などと比べ多いわけではありません。

 

ましてリンの吸収率は3割前後ですから、豆腐だけを悪者にして避けるのはおかしいことになってしまいます。

 

リンを気にするなら、まずは無機リンが多い加工品をできるだけ減らすことを基本に、1日の摂取量の範囲で調整するのが、体づくりのためにも大切と考えます。

 

なお、リンを吸着し排出を促す薬はクレメジンで血液透析・腹膜透析患者にも処方されます。

 

腎機能が低下すると、カリウムの排泄能力も落ちてしまい、血液中のカリウム濃度が高まる「高カリウム血症」になる恐れがあります。

 

カリウムは本来、体にとって不可欠なミネラルですが、過剰になると手足がしびれたり、不整脈を起こしやすくなったり、重症になると心臓停止に至るリスクも高くなってしまいます。

 

そこで、CKD患者さんは重症度により、1日1500~2000mg以内のカリウムの制限が必要になります。

 

正直なところ、楽に制限できる「裏技」のような方法はなく、カリウムを多く含む食品をできるだけ避けることや、カリウムは水に溶けるので、茹でる、水にさらすなどの調理の工夫が基本となります。

次ページ「カリウムが多い食品の一例」と「調理の工夫」を解説

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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