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過去問を始めるのは、早ければ早いほどよいのか
過去問は模試と異なります。模試での志望校判定が80パーセント以上でも、実際の過去問を解くとまったく点数がとれないことがあるのは、模試と入試問題の出題方式にズレがあるためです。
「入試問題は学校からのラブレター」といわれるように、的確な処理ができる生徒がほしい学校は典型題が多く、思考力のある生徒がほしい学校は学校独自の思考題を出題し、自分の考えをきちんと表現できる生徒がほしい学校は記述をさせます。
そのため、入試本番で点数がとれるよう、過去問を使って「出題傾向を知って対策をする/解くスピードを決める/問題取捨選択眼をきたえる」といった戦略を練る必要があります。
コロナ禍の休校・休塾で急に時間に余裕ができた2020年の3月、4月。6年生の親御様からは、
「今のうちに過去問に取りかかろうと思うのですが……」
という相談が増えました。
いずれはやらねばならない過去問。入試直前期になって積み残しが出てくるならば、時間のある今から少しずつ進めていけばいいのでは――そう考えるのもわからなくはありません。他にも「過去問は10年分以上やる」「同じ過去問を3回以上まわす」という話も聞きます。
過去問はたくさんの年数を、できるだけ早い時期から何度も繰り返すのがベストなのでしょうか?
〇回数について
あるご家庭から、「プロの家庭教師に過去問10年分を5回解くようにと指示された」という話を聞いて本当に驚きました。
入試にまったく同じ問題は出題されません。毎年食塩水の問題が出題されるならば、どのような食塩水の問題が出題されても解ける力をつけることが大切です。
もちろん、毎年似たパターンで出題される問題の場合は、くり返し解いて「型」を身につけるのは有効です。ただし、同じ過去問を5回も解いていれば、子どもだって答えを覚えます。解くたびに点数が上がって当然です。これは実力ではありません。
塾の指示やフライングで6年の夏前に手を付けてしまった、という場合は、きちんと志望校対策をしたうえで直前期にふたたび取り組みましょう。夏に解いた問題の答えをすべて覚えているほど、子どもも器用ではありません。初回で解いた過去問がボロボロだった場合も同様です。「ひどい点数をとった」というセルフイメージのまま、入試会場に向かわせたくないですからね。