(※画像はイメージです/PIXTA)

学習の基礎が身についていない状態で過去問を解いても点数はとれず、親子共々の自信と、貴重な過去問を失うのみです。過去問とはどう向き合うべきなのでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

ひととおり学習が終わったら過去問に

〇年数について

私はいつも「第1志望は赤本1冊分はやりましょう」とお話ししていますが、学校によって赤本に収録されている年数は3〜10年と幅があり、取り組む年数は必ずしも厳密なものではありません。

 

ただ、第1志望に関しては最低でも5年分は解かないと、子どもが出題形式や時間配分に慣れることができません。第2、第3志望も、よほど余裕で合格できる場合でない限り、最低3回は解き、点数のとり方を習得する必要があります。

 

今はネットなどで赤本の中古品を入手するなど、10年、20年前の過去問を入手することが可能です。

 

しかし、今と昔で出題傾向や形式、制限時間が変わってきている学校もあります。出題傾向が変わらず、志望校対策もできているならば10年分以上解いてもいいですが、宿題の感覚で解き散らかしたり、過去問に飽きたりしないよう、解くペースや子どもの気持ちとうまく折り合いをつけることにも心を砕きましょう。

 

〇過去問に取り組む時期

過去問をザッと見ることによって、説明会やHP、パンフレットでは見えてこない学校の本音を知ることができます。特に国語で扱っている文章から、その学校が大切にしていることがわかります。そういう意味で、あらかじめ過去問に「目を通す」ことは有効です。しかし実際に「取り組む」時期には慎重になる必要があります。

 

大手塾のカリキュラムのほとんどは、6年の夏休みでひととおりの学習が終わるように組まれています。そして、6年秋から志望校対策が始まります。

 

つまり、6年春の時点では、ひととおりの学習が終わっていませんし、6年夏の時点ではまだ志望校対策に着手していないわけです。この状態で過去問を解いても点数はとれず、親子共々の自信と、貴重な過去問を失うのみです。

 

過去問に取り組み始めるのは、ひととおりの学習が終わり、志望校対策がある程度進んでから。1行題(大問1や大問2で出題される1、2行程度の典型題)で点数がとれないならば短期間に全分野の基礎をさらい直す、速さのダイヤグラムが毎年出題されるならば得意になるくらいまでやり込む――これが志望校対策です。

 

科目にもよりますが、大手塾に通っている場合、算数の場合は早い子で6年生の10月、遅い子だと6年生の12月まで過去問のGOを出せないこともあります。

 

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