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40年も生き延びてきた「しなやかさとタフさ」を認める
▼浅く生きる人=取り越し苦労ばかりしている
40年も生きてくると、世の中の怖さもはかなさも身にしみてきます。
「夢なら醒めてほしい」という修羅場がやってくることがあります。仕事で大きな失敗をしたり、人間関係もトラブルが起きて、生きていくのが怖くなってくるものです。この先、病気を患ったり、親が死んだり、貯金も底をついたり、とんでもないことが自分に起こる気がしてしまいます。
私も38歳で父を看取り、44歳で母親を施設に入れて、50歳で家業が倒産して、そのたびごとに心身ともに大きなダメージを受けました。コーヒーの一杯もゆっくり飲めない、食事ものどを通らない、吞む酒もおいしく感じられない、夜もなかなか眠れない、そんなことを繰り返しました。
でも不思議と毎回、ひとつずつ乗り越えてきました。
若い頃、夜中に富士山のふもとを40キロ歩く研修をしたことがあります。闇に浮かぶ眼前の真っ黒い富士山の大きさに恐怖を感じたものです。黒い巨大な姿はマジでゾッとしたものです。
じっさい、世の中は怖く見えるものであふれていますが、不思議なもので、あれに比べればなんとかなる、これに比べると大丈夫と思えてくるのも40代の特徴です。それこそ山より大きなイノシシは出ないという感覚です。
禅の言葉「莫妄想」といって、まだ起こらない先の恐怖ばかりにとらわれるな! という語があります。それこそ、今思い悩んでいる不安のほとんどは現実には起こらないとも言えます。
チベット仏教でも「心配ごとはない」といいます。最善を尽くしていれば心配してもしょうがない、自分で変えられないことは心配してもしょうがない、心配は「心のクセ」といわれているのです。
40年も生き延びてきた自分のしなやかさとタフさも見直してあげましょう。人は思いを定める、決心すると強くなるものです。