(※写真はイメージです/PIXTA)

「寝つきを良くするためにアルコールを飲んでいる」という患者がいれば、精神科医・臨床心理士はうつ病の症状悪化を懸念して真っ先に介入しなければなりません。しかし、「5分診療」が主流となり、医師と臨床心理士の連携が進んでいない現状では、難しい実態があるようです。医療法人瑞枝会クリニック・院長の小椋哲氏が解説します。

「“診療報酬”が労力に見合わない」実態

こうした地域リソースを利用する患者に対し、適切な援助を提供していくには、地域リソースの医師・看護師や精神保健福祉士などのスタッフ(以後、地域スタッフと呼称)に対し、医師が必要に応じて患者の情報を共有するなどのコミュニケーションを図ることが重要になります。

 

しかし、こうした地域スタッフとのコミュニケーションを大切にしている医師は極めて少数派です。というのも、医師は診察以外の時間も、書類の作成などに忙殺されていますが、その労力に対しては、文書料という診療報酬が用意されています。

 

しかし、地域スタッフとのコミュニケーションに対しては原則として診療報酬が支払われません。

 

唯一、初回の診療情報提供書の発行だけは診療報酬を算定できるので、多くの病院でも実施されていますが、ほとんどはそれで終わりです。

 

要するに、地域スタッフとのコミュニケーションに時間を割く診療報酬上のインセンティブが極めて乏しく、現に割いてはいないのです。

 

 

小椋 哲

医療法人瑞枝会クリニック 院長

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

現在の精神医療は効率重視で、回転率を上げるために、5分程度の診療を行っている医師が多くいます。 一方で、高い志をもって最適な診療を実現しようとする医師は、診療報酬が追加できない“サービス診療"を行っています。 こ…

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