「“診療報酬”が労力に見合わない」実態
こうした地域リソースを利用する患者に対し、適切な援助を提供していくには、地域リソースの医師・看護師や精神保健福祉士などのスタッフ(以後、地域スタッフと呼称)に対し、医師が必要に応じて患者の情報を共有するなどのコミュニケーションを図ることが重要になります。
しかし、こうした地域スタッフとのコミュニケーションを大切にしている医師は極めて少数派です。というのも、医師は診察以外の時間も、書類の作成などに忙殺されていますが、その労力に対しては、文書料という診療報酬が用意されています。
しかし、地域スタッフとのコミュニケーションに対しては原則として診療報酬が支払われません。
唯一、初回の診療情報提供書の発行だけは診療報酬を算定できるので、多くの病院でも実施されていますが、ほとんどはそれで終わりです。
要するに、地域スタッフとのコミュニケーションに時間を割く診療報酬上のインセンティブが極めて乏しく、現に割いてはいないのです。
小椋 哲
医療法人瑞枝会クリニック 院長