(※写真はイメージです/PIXTA)

金融庁は経営体力が万全ではない地方銀行間の再編をコロナ前から進めてきました。世界的な金融緩和のなかで銀行経営に苦しむ地銀再編はどのように進むのでしょうか。国際投資アナリストが解説します。※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

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地銀再編・合併を後押しする特例法が成立

金融緩和によって日本ではどのような影響が見られていくのでしょうか? メガ3行(MUFG、SMBC、みずほ)など大手銀行の合併は既に10年前程度に完了し、金融庁による強い旗振りのようなガイダンスもあり、経営体力が盤石でない地方銀行間の再編が、コロナショック以前から進んではいました。

 

共有している問題は、日本国内、特に地方の過疎化による人口減や低成長による資金需要低下、また日銀のマイナス金利を含む、圧倒的な金利低下により、銀行の収益源である貸出金利回りの恒常的な低下が挙げられます。

 

各地域において一定程度の優良行はあるものの、すべての地方金融機関がこのまま生き残っていくことは、既に難しい、と考えることに異論は少ないかと思います。

 

その中、地銀等の再編・合併を後押しする特例法が国会で可決されました(2020年5月20日)。この法律により、金融庁が統合・合併を目指す地銀の事業計画を審査し、収益力の向上や金融サービスの維持につながることを条件に、地銀同士の合併が独禁法の適用除外(10年間ほど)になりました。

 

また2020年6月末に掲載された記事には、地銀を監督する金融庁の遠藤長官(当時)の談話が掲載されていました。

 

『新たな改革を始めて1年経過したが、道半ばだ。実感として改革が進んだ地銀は全体の4割程度という感覚だ。地銀は経営理念を脇に置いて、人事ピラミッド上位の経営本部が下位の営業職員にノルマや心理的プレッシャーを課し、失望した若手行員の離職を招いている。金融庁は監督者として振る舞いつつも、所詮他人事となりがちで、当事者意識に欠けていた。』

 

そして2020年7月11日の記事によると、金融庁が自己資本健全な銀行に対して、預金保険の保険料をさらに低減させる意向、というニュースが出ていました。これは要するに、銀行や金融機関でも規模が大きければ、優遇します、といった措置にも捉えることができ、規模の大きくない地銀などの合併を結果的に促している、とも考えられます。

 

またコロナショックにより国民1人ずつに配布された特別給付金(10万円)を通じて、政府からも低減の必要あり、とコメントしたことで注目を浴びた銀行の振込手数料も(規模の比較的小さい)地方金融機関ほど、経営の収益に対して負の影響度が大きいようで、結果として規模の小さい地銀への包囲網が着々とできているようにも考えられます。

 

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