機関投資家が国内株式に「強気」なワケ
こう考えてくると、株式に対して弱気になる必要は全くない。事実、機関投資家は強気見通しである。QUICKが8日発表した11月の株式月次調査によると、11月末の日経平均株価の予想平均は2万9809円と、月末(1カ月後)の予想として1994年の調査開始以来過去最高となったという。
週間展望でも書いたが日曜日の日経新聞が報じたように日本企業の業績は一段と上振れしている。日経が5日までに決算と今期予想を発表した企業784社を集計したところ、22年3月期の増益率予想は45%と8年ぶりの高い伸び率となるという。
市場では業績が上振れした企業は買われるが下振れした企業が売られる二極化の動きが鮮明になっているが、毎度のことだ。今回の決算は上振れの方が多いのだから自然と市場全体は締まってくるだろう。
これだけの条件がそろって上値が重い理由はSBG(9984)の業績懸念だったと思う。実際、あれだけの下方修正を出されると、日経平均の予想EPSはそれまでの上方修正で積み上げた分を一気に吹き飛ばす結果となった。
ただし、これで悪材料も出尽くしだろう。
日経平均は上向いている25日線ほかの移動平均が密集する手前できれいに切り返した。
一目均衡表の雲がサポートになっていた。直近の連続した陰線は雲の上限にそって滑り落ちたが、雲の中に入ることなく上放れ始めた。
しかし、SBG1社に日経平均のファンダメンタルズが影響を受け過ぎるという構造問題は残る。
[図表7]は日経平均を構成する225銘柄の当期純利益の予想額である。SBGの2兆5000億円という下方修正で1夜にして「日経平均株式会社」の利益の7%強を吹き飛ばした格好である。
しかも、SBGは事業会社ではなく投資会社だ。その収益は市場の変動で決まる。つまり日経平均は市場変動でファンダメンタルズもまた多大な影響を受けるような株価指数なのである。
これはある意味で「二重構造」、もしくはレバレッジが効いているとも言えるだろう。日本株市場の構造問題として指摘しておきたい。
さて、そのSBGだが5月の急落で突き抜けた一目均衡表の雲をようやく上に抜けようかという状況にある。9月の相場急伸時にトライして抜けなかった壁だ。
ここを上抜ければ底打ち反転と見ていいだろう。市場全体のムードも変わるだろう。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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