中国、物価統計を睨む (※写真はイメージです/PIXTA)

中国の原材料価格の動向を代替する卸売物価指数は上昇が続く一方で、中国国内の最終消費財価格の動向を示すCPIも10月に上昇しました。原油価格の上昇傾向が続いています。もっともCPIは前年比で1.4%増と、中国人民銀行(中央銀行)のインフレ目標を下回っており、インフレ懸念は現段階では低いと思われますが、価格のゆがみには注意も必要です。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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中国物価統計:卸売物価は高止まり、低水準の消費者物価に反転の兆し

中国国家統計局が2021年11月10日に発表した10月の中国の卸売物価指数(PPI)は、前年同月比13.5%増と、市場予想の12.3%増、先月の10.7%増を上回りました。10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%増と、市場予想の1.4%増、先月の0.7%増を上回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2016年10月~2021年10月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国のCPIとPPIの推移 月次、期間:2016年10月~2021年10月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

中国税関総署が11月7日に発表した10月の貿易統計によると、ドルベースの輸出が前年同月比27.1%増え、市場予想の22.8%を上回りました。輸入は前年同月比20.6%増と市場予想の26.2%増は下回りましたが、前月の17.6%増を上回り依然高水準となっています。

どこに注目すべきか:中国、PPI、CPI、電力価格、レアアース

中国の原材料価格の動向を代替する卸売物価指数は上昇が続く一方で、中国国内の最終消費財価格の動向を示すCPIも10月に上昇しました。原油価格の上昇傾向が続いています(図表1参照)。もっともCPIは前年比で1.4%増と、中国人民銀行(中央銀行)のインフレ目標を下回っており、インフレ懸念は現段階では低いと思われますが、価格のゆがみには注意も必要です。

 

まず、中国のCPIの水準を振り返ります。人民銀のインフレ目標は3.0%で、10月のCPIが前年比で1.4%増と前月を上回ったとはいえ、現状は許容可能な水準と思われます。また、22年の中国のインフレ予想について市場予想を見ると、概ね2.2%程度が見込まれています。ピクテでも2.1%を現段階では予想しています。

 

次に中国の今後の物価動向を確認します。中国の物価は来年徐々に上昇すると見込まれます。その背景は電力価格の上昇です。中国国務院は10月8日に産業用などの電力制度を改訂し、電力基本価格に上乗せする上限の幅を従来の上限10%から20%まで拡大しました(一部産業は更なる上乗せも可能)。事実上の値上げの容認です(家庭部門用電力等は対象外)。中国が直面する電力不足解消に向けた苦肉の策として電力価格の変動幅拡大が許容されましたが、間接的に消費者物価を押し上げると見られます。来年の中国のCPI予想は年を通せば2.2%程度が予想されていますが、年末に向け上昇傾向が想定されています。

 

一方、PPIは来年末に向け低下が見込まれるものの、当面はエネルギー価格などの高止まりから高水準での推移が想定されます。これは国内では価格転嫁が進まず、製造段階での利益縮小が懸念されます。

 

仮に価格転嫁が進めば国内価格上昇による消費の悪化という別の(より深刻な)問題に発展する恐れがあります。

 

原材料価格の上昇は中国の貿易統計にもゆがみを与えているようです(図表2参照)。

 

月次、期間:2016年10月~2021年10月、16年10月=100で指数化  出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の主な輸出、輸入商品の数量の推移 月次、期間:2016年10月~2021年10月、16年10月=100で指数化
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

中国の輸出や輸入の伸びを金額ベースで見ると輸出入とも前年比で2桁以上の伸びが続いています。しかし数量ベースで見るとやや様相が異なります(図表2参照)。例えば、鉄鋼の輸出数量は足元減少傾向です。希土類(レアアース)のように中国が希少な資源を保有する品目は数量ベースでも輸出が伸びているケースもありますが、これらは例外と見なすべきと思われます。数量をも引き上げる強い外需(需要)よりも、価格転嫁できた商品が輸出金額を押し上げた可能性が高いと見られます。

 

輸入数量も事情は似ており、原油や原材料としての鉄鉱石の輸入数量は前年に比べやや低下傾向です。金額ベースの貿易統計を見る上では注意も必要です。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国、物価統計を睨む』を参照)。

 

(2021年11月10日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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