米国に再びCPIショックか (※写真はイメージです/PIXTA)

米国のインフレ率の急上昇を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)内のハト派(金融緩和を選好)が主張するインフレ率上昇は一時的という説明は一層苦しくなる一方で、タカ派(金融引締めを選好)の声が大きくなることも想定されます。もっとも、このような時こそ、上昇の背景と市場の動向を冷静に見つめることが求められそうです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

米消費者物価指数:10月の米CPIは31年ぶりに6%台の上昇となった

米労働省が2021年11月10日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.2%上昇と9月の5.4%を大幅に上回りました(図表1参照)。上昇幅は1990年11月以来約31年ぶりの6%台となりました。

 

期間:2020年10月~2021年10月、前年同月比、季節調整前 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国総合CPIと主な構成指数の上昇率期間:2020年10月~2021年10月、前年同月比、季節調整前
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

前月比で見ると、CPIは0.9%上昇と、前月の0.4%を大幅に上回りました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.6%上昇で、前月の0.2%を上回りました。

どこに注目すべきか:再びCPIショック、供給問題、原油価格、金

米国のインフレ率の急上昇を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)内のハト派(金融緩和を選好)が主張するインフレ率上昇は一時的という説明は一層苦しくなる一方で、タカ派(金融引締めを選好)の声が大きくなることも想定されます。もっとも、このような時こそ、上昇の背景と市場の動向を冷静に見つめることが求められそうです。

 

まず、10月の米CPIが上昇した理由を主なCPI構成項目から眺めると、エネルギー価格上昇と供給問題が背後にあることがうかがえます。ガソリンやガスは1年前に比べ2桁の上昇率です(図表1参照)。これらの価格は原油や天然ガス価格の動向に大きく左右されそうです。

 

半導体不足など供給問題が依然深刻なのは中古車や新車価格の根強い上昇に示されています。また、食品価格などの上昇は、食料生産の不足というよりも、配送におけるトラック運転手の深刻な不足など幅広い分野にわたる供給問題が背後にあると考えられます。

 

また、供給問題を見越して年末商戦前に商品を買い求める動きが事態を悪化させている可能性も考えられます。想定よりもインフレが長期化する懸念が広まりつつあることがうかがえます。

 

10月の米CPI上昇を受けた市場の反応に注目すると、米国債市場では利上げ前倒し懸念を反映して2年国債利回りが上昇し、長期国債もインフレ懸念を背景に上昇しました(共に価格は下落、図表2参照)。

 

日次、期間:2020年11月10日~2021年11月10日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国債利回り(10年、2年)と金先物価格の推移 日次、期間:2020年11月10日~2021年11月10日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

こうした中、興味深い動きを示したのは金価格です。利子を生まない金は、正確さにかける表現ですが、金利上昇時に下落することがあります。今回国債利回りが急上昇したにもかかわらず金価格は上昇しました。これは金のインフレヘッジ需要が背景と見られます。10月CPIの想定外の上昇を受け、これまでとやや違う動きが見られました。

 

急激なインフレ率上昇に株式市場は下落しました(図表3参照)。

 

日次、期間:2020年11月10日~2021年11月10日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表3]米ナスダック総合指数と原油先物価格の推移 日次、期間:2020年11月10日~2021年11月10日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

特にハイテク企業の割合が高いナスダック総合指数はインフレやそれに伴う金利上昇に弱い傾向があり下落しました。ただ、株式市場の中には金利上昇が必ずしもマイナスとならないセクターもあります。また、インフレが適度であれば価格転嫁により収益が確保できる場合もあり、インフレと株価の関係はそれほど単純ではないことに注意が必要です。

 

供給問題によるインフレは金融政策に加え政治的な対応も求められ、今後の両政策を注意深く見守る必要があります。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国に再びCPIショックか』を参照)。

 

(2021年11月11日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

\PR/ 年間延べ2000人以上が視聴!
カメハメハ倶楽部
「資産運用」セミナー

 

【カメハメハ倶楽部のイベント・セミナー】

※<特設ページ>富裕層のためのヘッジファンド活用

 

【12/8開催】企業オーナー向けの決算対策「オペレーティングリース」投資の基礎講座

 

【12/8開催】相続、事業・資産承継の悩みを解決する「民事信託」の具体的活用術

 

【12/11開催】ヘッジ・ファンドによる「グローバル成長株」投資の全容

 

【12/11開催】償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力<幻冬舎会場・限定版>

 

【12/14開催】新ルール対応の中小企業オーナー向け「法人保険」入門講座

 

【12/14開催】日本で買える「劣後債」投資の実情と具体的な取り組み方

 

【12/14開催】富裕層のための「スイス・ボーディングスクール」の知られざる魅力

 

【12/16開催】現地金融機関の融資を活用した「アメリカ不動産投資」の最新事情

 

【12/16開催】賃貸スタイルによって変わる「ハワイ不動産」投資効果を検証

 

【12/16開催】口座情報交換制度を踏まえた「海外活用」の進め方

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・ヘッドライン

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!