「税務調査に入られやすい個人事業主」の特徴【税理士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

税務署の職員や調査にあたる担当者数には限りがあり、申告件数のすべてを調査することはできません。決して高くはない確率の中で調査対象となってしまう個人事業主には、どんな特徴があるのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が解説します。※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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法人は約3%、個人事業主は約1%の確率で調査実施

「個人事業主は税務調査に入られる確率が少ない」と耳にすることがあります。裏を返せば、個人事業主でも税務調査がやって来る可能性は十分にあると言えるでしょう。

 

ここでは、所得がいくらになれば個人事業主でも税務調査を受ける確率が高まるのか、また税務調査に入られやすい個人事業主の特徴などについて解説します。

 

まずは、毎年行われている税務調査のデータや割合をもとに、個人事業主への税務調査の実態について見ていきましょう。

 

国税庁では、所得税の申告件数や消費税に関する税務調査を実施した件数などについて、毎年データを公表しています。

 

所得税や相続税、消費税など簡易調査を合わせると、例年60万件ほどの税務調査が実施されており、税務調査が実施される確率は「実調率」から読み取ることが可能です。

 

平成28年度の法人税に対する実調率は3.2%となっており、法人に対しては、3%程度の割合で税務調査が行なわれたことがわかります。

 

一方、個人事業主が主な対象となる所得税についての実調率は1.1%となっており、個人事業主へは1%ほどの割合で税務調査が行われたことになります。

 

ただし、これはあくまで申告されたものに対しての実調率となっており、申告自体をしていない無申告事業者への調査などは別途実施されていると考えると、データに上がらない税務調査の割合はもう少し高くなると考えられるでしょう。

税務署は「一定の条件」に基づいて事業所をマーク

平成30年の申告所得税件数は2,222万件となっており、税務署の職員や調査にあたる担当者の数には限りがあります。

 

そのため、申告件数すべてについて、税務署が同等の調査を実施するのは困難なものです。一定の条件に基づいてピックアップされた事業者に対して、より詳しい調査が行われていると考えるのが現実的でしょう。

 

では、どのような条件に該当する個人事業主が税務調査の対象となりやすいのでしょうか。

 

税務署は税務調査の目的として、以下のような点を重視しています。

 

●海外との取引が多い

海外取引を多く行っている事業者は、消費税に対して適正な取引となっているかが注目されやすくなっています。

 

資産を隠す目的で海外へ移していないか、税金を回避するために国外で設立した会社を利用していないかなど、税金逃れを目的とした不正の取り締まりを強化しているようです。

 

●シェアリングエコノミーに関わっている

民泊事業やフードデリバリー請負など、近年台頭しているシェアリングエコノミーに関わる事業についても、税務署では実態の把握に力を入れています。

 

適正な届出がなされているか、課税や記帳に関して正しく管理されているかといった観点で、是正の意味合いも含めて調査対象とする事例も多いようです。

 

●富裕層への対応

税務調査を実施するには、数日かけて担当者を派遣して資料をチェックするなど、税務署の方でも手間と時間をある程度かける必要があります。

 

修正申告や追徴課税の額が大きくなりそうな事業者ほど、税務署としては積極的に調査したいと考えるのが現実であるともいえるでしょう。

 

多額の資産を保有していたり、急激に売り上げが伸びていたりする事業者などに対しては、大都市圏で専用のチームを設置して調査にあたっているようです。

 

●無申告事業者の把握

計上ミスや修正申告といった申告済みの事業者だけでなく、そもそも申告自体をしていない事業者の把握についても、税務署では強化しています。

 

何年も無申告となっている事業者の場合、悪質性が認められれば、最大で7年分も遡って課税できるほか、重加算税などの重い追徴課税の対象とできるからです。

「税務調査に入られやすい個人事業主」の特徴

上記をふまえると、税務調査の対象となりやすい個人事業主には、以下のような特徴があると考えられます。

■起業・開業後3年以上が経過している

起業や開業後経過した年月が長くなるほど、税務調査の対象となる確率は高まります。数年経過して気の緩みがないか、会計処理を間違ったまま理解していないかといった点以外に、原則として最低3年までは遡って調査できる点も無関係ではないでしょう。

 

もちろん、3年が経過する前に税務調査が入るケースもあれば、10年以上調査の対象とならないケースもあります。

 

とはいえ、開業後3年が経過していたら、過去の申告や資料などについて、改めてチェックしてみるとよいでしょう。

■売上高が1,000万円を超える

売上高が1,000万円を超えると、個人事業主であっても消費税の納付義務が発生します。1,000万円以上が所得税の課税対象となると同時に、消費税についても調査対象となるため、税務調査に入られる確率は高まるでしょう。

 

また、1,000万円に少し満たない額での申告が続いている事業者についても、実際は消費税の納付義務があるのではないか、という観点から、調査の対象となりやすくなると予想されます。

■海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売上が多い

海外との取引といえば、従来までは輸出入や不動産投資などが主な事業となっていましたが、近年ではオンラインを利用して、さまざまな業種で海外取引が利用されています。

 

民泊事業やデリバリーの請負などで海外の企業と収支の取引がある暗号資産などの取引で、急激に大きな利益が出ているといった場合には、適正な申告ができているかを把握する目的で調査対象となる可能性もあるでしょう。

■無申告事業者

無申告である実態は金融機関への情報照会や取引先への税務調査で発覚するほか、第三者からの密告などで判明することも多いものです。

 

これまで無申告を続けてきた場合は、本当に申告の必要がないのかも含めて、税理士などの専門家へ相談してみることをおすすめします。

 

<まとめ>

個人事業主が税務調査に入られる確率は全体としては多くはありませんが、所得税の課税対象となる売上が1,000万円に近いか、それ以上の場合は調査対象となる確率が高まります。

 

それ以外にも、税務調査に入られやすい特徴で挙げた点に心当たりがある場合は、税理士事務所などでアドバイスを受けてみるのがよいでしょう。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国5ヵ所(渋谷、亀戸、新宿、横浜、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。

国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。

税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

(写真は代表税理士・松本崇宏氏)

【税理士法人松本HP:(https://無申告.jp/)

著者紹介

連載税務調査専門税理士法人が解説!税務調査の「こんなケース」の対処法

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