騰勢を強める欧米株式市場 その原動力は何か? (※画像はイメージです/PIXTA)

米国S&P500指数や欧州STOXX600指数は今年10月以降、騰勢を強めている(図表1)。その原動力は、好調な7-9月期決算を背景とした予想EPSの上方修正に加え、米国実質金利の低下を受けた予想PERの上昇にある。また、英国における新型コロナウイルスの経口治療薬承認や米国雇用統計の上振れなども、「リスクオン」ムードを醸成したと考えられる。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

 

日次、現地通貨建て、配当込み、2021年9月末=100で指数化 期間:2021年9月末~2021年11月5日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1](米)S&P500指数と(欧)STOXX600指数の推移 日次、現地通貨建て、配当込み、2021年9月末=100で指数化
期間:2021年9月末~2021年11月5日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

米国の7-9月期決算は大方の予想に反して好調な結果

グローバルにインフレ圧力の高まりやサプライチェーン(供給網)のボトルネックが問題になる中、大方の予想に反して好調に推移しているのが欧米の7-9月期決算だ。米国ではS&P500指数を構成する500社のうち、11月5日時点で447社(全体の89%)が既に7-9月期決算を発表済みだが、そのうち市場予想を上回った決算の割合は81%にものぼる。これは過去5年間の平均値(76%)を上回る水準であり、総じて好調な決算だと言える。

 

これを受けて、S&P500指数の12ヵ月先予想EPS(1株当たり利益)は、今年9月末時点から11月5日にかけて1.7%上方修正された。また、欧州の7-9期決算(売上報告含む)も概ね好調な内容となっており、STOXX600指数の12ヵ月先予想EPSは同期間で2.8%上方修正された(図表2)。

 

現地通貨建て、期間:2021年9月末~2021年11月5日 ※市場予想は12ヵ月先、ブルームバーグ集計 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]S&P500指数とSTOXX600指数の予想EPS(1株当たり利益)と予想PER(株価収益率)の変化率 現地通貨建て、期間:2021年9月末~2021年11月5日
※市場予想は12ヵ月先、ブルームバーグ集計
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

さらに目立ったのが欧米株におけるバリュエーションの上昇だ。S&P500指数の12ヵ月先予想PER(株価収益率)は、9月末時点の20.1倍から11月5日時点の21.5倍へ7.3%上昇した。また、STOXX600指数の12ヵ月先予想PERも同期間で15.5倍から16.0倍へ3.4%上昇した。

 

この欧米株におけるバリュエーション上昇の背景には、米国の実質金利低下が寄与した可能性がある。米国の名目金利(米10年国債利回り)から米国の期待インフレ率(米10年ブレークイーブン)を差し引いた米国実質金利は、9月末時点の-0.89%から11月5日にかけて-1.10%へ低下した。一般的に、実質金利の低下はバリュエーションを押し上げる方向に寄与するため、足元の株価上昇は企業業績とバリュエーションの双方がプラスに寄与したと言える。

英国の新型コロナ経口治療薬承認と米国雇用統計の上振れが買い材料に

バリュエーション上昇の要因は、実質金利の低下以外にも挙げられる。ひとつは、英国の医薬品・医療製品規制庁が11月4日に、米メルクが開発する新型コロナウイルスの経口治療薬である「モルヌピラビル」を世界に先駆けて承認したことだ。また、米ファイザーも開発中の新型コロナウイルスの経口治療薬「パクスロビド」の臨床試験データにおいて、入院や死亡リスクが約9割低下したとの結果を11月5日に公表した。

 

新型コロナ対策の「ゲームチェンジャー」とも言われるこれらの飲み薬は、在宅療養中の軽症患者の治療に使用することが可能になるため、経済の正常化がさらに進展することが期待されている。実際、11月5日の欧米株式市場ではホテル株や航空株、クルーズ株などのトラベル関連株の上昇が目立つ展開となった。

 

もうひとつは米国雇用統計の上振れだろう。10月の非農業部門雇用者数は前月比53万1000人増と市場予想の45万人増を上回り、9月も19万4000人増から31万2000人増へ上方修正された。11月3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後に開催されたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見では利上げを急がない姿勢が示されていただけに、市場予想を上回る雇用統計は先行きの楽観論を高めるのに十分過ぎる内容だったのかもしれない。サプライチェーンのボトルネックにも一部緩和の兆しが表れる中、10-12月期は株価が上昇しやすい季節性も相俟って、市場は一気に「リスクオン」ムードに傾斜している。

 

 

※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、医薬品についてもあくまで参考として紹介したものであり、その医薬品を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『騰勢を強める欧米株式市場 その原動力は何か?』を参照)。

 

(2021年11月8日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

\PR/ 年間延べ2000人以上が視聴!
カメハメハ倶楽部
「資産運用」セミナー

 

【カメハメハ倶楽部のイベント・セミナー】

※<特設ページ>富裕層のためのヘッジファンド活用

 

【1/18開催】中小企業のオーナー向け「事業承継&相続対策」の始め方

 

【1/18開催】地主の方必見!正しい「不動産評価」による最適な相続対策の進め方 

 

【1/21開催】運用のプロと語る!2022年の「日本株式市場」の見通し

 

【1/22開催】金融資産1億円以上の方が知っておくべき「民事信託」のキホン 

 

【1/25開催】医師専門の税理士による自己資金0で「医院開業を成功させる」4つのポイント

 

【1/25開催】希少な“FIT型案件”あり!FITからNon-FITへ…「太陽光発電」投資の最新事情 

 

【1/26開催】ファンド・オブ・ヘッジファンズ会社による「投資対象」としてのヘッジファンドの魅力 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・Deep Insight

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧