いるだけでまわりの士気を下げる悪いリーダー
■良い職場環境は良い間関係から
職場環境は大切です。働きやすい職場であるかどうかは、実質的な成果に直結します。
職場環境を改善しようと、最新のPOSシステムやパソコン設備を導入し、従業員休憩室を充実させました。さらに、給与制度や勤務体系の改善も行いました。
それでも、従業員の離職が止まらず、仕事上のミスは減りませんでした。なぜなら、僕は本当の意味で職場環境を大切にしてこなかったからです。
「人はいるだけで環境に影響する」―― これも大久保寛司さんに教わった大切な教えです。
「特に影響を与えるのがリーダーです。いるだけでまわりに悪い影響を与えるリーダーなら、いないほうがましです」
まさに僕は、いるだけでまわりの士気を下げる悪いリーダーの典型でした。いつもいらいらしているリーダーがいたら、どんなに最新のパソコンが揃っていても、どんなに使いやすい事務機器が揃っていたとしても職場環境は最悪です。
職場環境にいちばんの悪影響を与えていたのは、ほかならぬ僕の〝表情〞でした。
経営状況が改善に向かわない焦りから、いつも僕の表情は強ばり、しかめっ面をしていました。話しかけてもらいたくないし、しかめっ面で働いているほうが真剣に働いているようでカッコいいくらいに思って、率先して悪い表情で仕事をしていました。
しかし表情とは、自分のためのものではありません。まわりの人のためのものなのです。リーダーがまわりに与える影響は大きいのです。たとえば、こんなふうに。
「挨拶をしないリーダーの下では、おはようございますが言えない部下になります」
「感謝を示さないリーダーの下では、ありがとうが言えない部下になります」
「人を許さないリーダーの下では、人を許せない部下になります」
「文句や愚痴ばかり言うリーダーの下では、不平不満ばかり言う部下になります」
「過ちを認めて反省できないリーダーの下では、謝る素直さを持たない部下になります」
「お客様を大切にしないリーダーの下では、お客様をバカにする部下になります」
「挑戦しないリーダーの下では、挑戦を嫌い、指示を待つだけの部下になります」
従業員たちが働く理由は「自分と家族の幸せのため」であること、経営の目的とは従業員の幸せを実現することと理解してからは、大切なことを大切にすること、感謝の気持ちを忘れないこと、助けあいの気持ちを持つことなど、僕は多くを学びました。