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被相続人が死亡時点でまだ受け取っていない年金や死亡後に振り込まれた年金は、相続税の課税の対象になるのでしょうか。未収年金と相続税の関係についてみていきましょう。

「私的年金の未収分」は相続税の対象になる

老後に受け取る年金には、公的年金のほかに企業年金や個人年金などの私的年金もあります。私的年金の未収分は相続税の対象になります。公的年金の未収分が課税の対象にならないのと混同しないようにしましょう。

 

企業年金の場合

企業年金は、公的年金を補う目的で勤務先の会社から支給される年金です。企業年金で未収分があれば相続税の課税対象になりますが、在職中に死亡した場合と年金をもらっている途中で死亡した場合では課税される範囲が異なります。

 

■在職中に死亡した場合

在職中に死亡した場合は、企業年金は死亡退職金として支払われ相続税の対象になります。ただし、死亡退職金には非課税限度額があり、500万円×法定相続人の数の金額の範囲であれば相続税はかかりません。

 

■年金をもらっている途中で死亡した場合

年金をもらっている途中で死亡した場合は、企業年金の未収分は定期金に関する権利として相続税の対象になります。死亡退職金の非課税限度額は適用できません。

 

定期金に関する権利の価額は、(1)解約返戻金の額、(2)一時金として受け取るときの金額、(3)将来もらえる年金から金利にあたる部分を引いて現在の価値に直した金額のいずれか多い金額で評価します。

 

個人年金の場合

個人年金は、個人で加入した個人年金保険から受け取る年金です。個人年金の未収分は年金受給権として相続税の対象になります。年金受給権の価額は、定期金に関する権利の価額と同じ考え方で計算します。

 

個人年金の未収分が相続税の対象になるのは、死亡した人が保険料を自分で負担していた場合に限られます。保険料を第三者が負担していた場合は、未収年金は贈与税の対象になります。

 

私的年金では未収年金が高額になることも

私的年金では、10年や15年など一定の支給期間内であれば、受給者の生死にかかわらず年金が支給されるものがあります。このような形態の年金では、未収年金が高額になることもあります。たとえば、年金の支給期間が15年あるとき、受給者が5年目に死亡した場合は10年分の年金が未収年金になります。

 

未収年金が高額になると相続税の税額計算に大きな影響を及ぼします。未収年金の相続税評価は専門知識が必要になるため、相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

[図表2]個人年金における未収年金の考え方

私的年金がある場合は注意が必要

ここまで、未収年金が相続税の対象になるかどうかについて解説しました。公的年金の未収分は相続税の対象にはなりませんが、私的年金の未収分は相続税の対象になります。このように、年金の種類によって相続税の課税の考え方が異なるため、混同しないように注意しましょう。

 

個人年金の場合は契約者や保険料負担者が誰であるかによって税目が変わる場合があり、企業年金の場合は計算方法が複数ありいずれも専門家の知識が必要になります。不明な点は相続税専門の税理士に相談してください。

 

税理士法人チェスター

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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