(※画像はイメージです/PIXTA)

「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけではありません。本連載では、長年、医療福祉相談員として働いてきた野坂きみ子氏が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なことを紹介します。

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「アスペルガー症候群」が定着する前には…

40年ほど前、発達障害は教科書でも精神発達遅滞もしくは精神遅滞のことでした。現在の知的障害のことです。知的障害と言っても、ただ知能指数が低いということではありません。知能指数は知能検査というスケールを通して指数化した数値に過ぎないので、個々の特徴を正確に映し出すものではありません。

 

しかしながら知的な障害はほかの精神疾患にさまざまな影響を与えて行くことも知られていましたから、ひとつの項目として取り扱われていました。

 

明確な言葉にならなくとも意思表示をしてくる子、人には興味がなく自分の世界にいる子、てんかん発作を起こす子、妄想や幻覚があるかもしれない子、子どもの数だけ特徴があります。当時わが国でも、少しずつ自閉症の概念が知られるようになりましたが、自閉症はそのような子どもたちの中から発見されて行ったのでしょう。

 

1943年アメリカの精神科医レオン・カナーは、人には興味がなく自分の世界におり、外界とのコミュニケーションも困難なそれらの子どもたちを「自閉症」と名付けました。そのような重い障害を持つ子どもは「カナー型自閉症」と呼ばれました。

 

時期を同じくしてオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーも同じような状態の子どもたちを見出し「自閉的精神病質」と名付けました。

 

その後1981年、ハンス・アスペルガーの著書がドイツ語から英語に翻訳された時、「自閉的精神病質」からハンス・アスペルガーの名前をとって「アスペルガー症候群」と言われるようになりました。その後長く「アスペルガー症候群」として定着していきます。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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