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空き家のまま放置されている賃貸物件が増加の一途を辿っています。「築古」「腐敗」「低い利便性」と3拍子揃った物件を相続した家族が困り果てて……という顛末が多いといわれています。さらに高齢化による認知症リスクが、築古賃貸物件のオーナー家族を困らせる事態に。迫りくる危機に、どのように対応すればいいのでしょうか。

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    築古・腐敗・低い利便性…空き家となる賃貸物件

     

    総務省統計局の「住宅・土地統計調査」(2018年)によると、日本の空き家は約850万戸、そのうち「賃貸用住宅」が約432万戸にも及びます。

     

    本来、賃貸物件は収益をもたらすもの。それがなぜ、空き家として放置されているのでしょうか。

     

    その理由は、前出の調査に付随した『空き家所有者実態調査』で垣間見ることができます。空き家のうち築70年以上が17.8%と、6戸に1戸にも及びます。それらが適切に管理されていればいいのですが、さらに「腐敗・破損がある」がある空き家は54.8%と過半数を占めます。また「最寄りの鉄道の駅から2㎞以上」が39.9%となっています。これらの条件が揃った賃貸物件に入居者希望があつまるわけもなく、収益を生まない賃貸物件という状態になってしまっているのです。

     

    ただ賃貸経営をはじめて本人であれば、所有物件がそのような状態になるまで放置するとは考えてにくいでしょう。賃貸物件で空き家になってしまっているものの多くは、相続によって当初の所有者から家族などに受け継がれたもの。突然の相続で、手にした不動産はボロボロで入居者なんて入るわけもない賃貸物件。手放すのもお金がかかり、八方ふさがり……。そのような賃貸物件が多いのです。

     

    また本来の所有者が存命しているにも拘らず、入居者ゼロで放置されたままの賃貸物件というパターンも。そのような場合、考えられるのが、認知症です。

    65歳以上の5人に1人が認知症となる時代が目の前に

     

    日本の高齢化率は上昇の一途を辿っており、2019年10月時点の65歳以上人口は3,589万人、高齢化率(総人口に対し65歳以上が占める割合)は28.4%に達しています。

     

    65歳以上人口は「団塊世代」が65歳以上となった2015年に3,387万人、さらに「団塊世代」が75歳以上となる2025年には3,677万人に達するといわれています。そして65歳以上人口のピークは、2042年3,935万人といわれていますが、総人口の減少率のほうが大きいため、その後も高齢化率は上がり続け、2065年には38.4%、実に日本人の2.6人に1人が65歳以上という社会が到来するといわれています。

     

    さらに高齢化の状況を、家族単位、世帯単位でみていくと、65歳以上がいる世帯は2018年時点で2,492万7,000世帯で、全世帯の48.9%を占めます。さらに65歳以上の高齢者だけの単身世帯も増加傾向にあり、2015年には男性が192万世帯、女性が400万世帯にもなっています。

     

    また厚生労働省『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)』によると、2012年時点の認知症患者は約462万人で、65歳以上高齢者の約7人に1人。さらに2025年にはその数は約700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になると予測しています。

     

    また都道府県ごとに「認知症で通院している65歳以上の割合」をみていくと、最も多いのが「滋賀県」で、人口比2.99%。続いて「岡山県」で2.97%、「鳥取県」2.81%、「秋田県」2.79%、「新潟県」2.87%と続きます。一方で総人口に対して認知症で通院している人の割合が低いのは「鹿児島県」で1.37%。「奈良県」1.44%、「大阪府」1.56%、「福岡県」1.68%、「三重県」1.70%と続きます。1位と47位の差は1.62%。それほど大きな地域差はないという印象です。

     

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