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全国に放置されたままの賃貸物件が432万戸
いま、高齢化が進むなか、相続によって手に入れた賃貸不動産に頭を悩ませる人が増えています。
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」(2018年)によると、日本の空き家率は13.6%。7戸に1戸は空き家(=人の住んでいない状態の建築物を言います。 1年以上人が住んでいない家)となっています。そのうち「賃貸用住宅」は約432万戸にも及んでいます。
そして「賃貸物件」にも関わらず「空き家」となっているのは、「建物が古く、腐敗なども見られ、空室が埋まらない 」と、賃貸住宅として機能していないことが最大の要因となっています。
前出の調査に付随した『空き家所有者実態調査』では、空き家のうち築40年以上が69.1%。築70年以上が17.8%、さらに「腐敗・破損がある」があるのは54.8%。また「最寄りの鉄道の駅から2㎞以上」が39.9%となっています。これらの条件が揃った賃貸物件……どんなに家賃が安かろうと、入居者が決まるとは思えません。
相続で思いもかけず賃貸物件を手にする人もいるでしょう。なかには、被相続人が賃貸物件を持っていることを把握しておらず、相続が発生してからその存在を知った、というケースもあるかもしれません。
いざ相続をしたら、賃貸物件としての価値はなく、ただ所有しているだけでコストがかかるだけ……約432万戸もの空き家となった賃貸物件のなかには、後悔しかない相続の結果に生まれたものも多くあると考えられます。
賃貸物件の100件に1件は「家賃滞納問題」に直面
また相続した賃貸物件が築古の場合、もうひとつ、相続人を悩ませるのが「家賃滞納」です。
古く、家賃が下落した賃貸物件に入居するのは、低収入であったり、食が安定してなかったりと、家賃の支払いに問題がある人であることは珍しくありません。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』によると、2020年下半期の2ヵ月以上の家賃滞納率は1.1%。首都圏では0.8%、関西圏では若干高く1.4%率となっています。
コロナ禍前の2019年下期と比べて、全国では0.2ポイント増、首都圏でも0.2ポイント増、関西では0.3ポイントの増加となりました。コロナ禍による休業、失業によって、家賃の支払いが苦しくなった人が少なからず増えている結果だと考えられます。
1ヵ月の家賃滞納は、振込忘れなどの“うっかり”の可能性が高いですが、2ヵ月の家賃滞納となると、困窮などから家賃の不払いが常態化しやすいといわれています。つまり、日本の賃貸物件、100件あれば1件は家賃滞納で悩む物件だといえるでしょう。
「家賃滞納リスク」の高い物件は、前述の通り、経年による劣化がそのまま放置されている物件である可能性が高いのです。
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