「タバコだけが唯一の救いだった」と話す豊中まりあさん(仮名)

タバコ依存症に陥る患者は、日本で約11万人以上に上るといいます。その中でも特に妊婦の喫煙は大きなリスクを伴います。今回取材した都内在住の豊中まりあさん(仮名)も、かつてタバコをどうしてもやめられず、頼りきってしまっていたといいます。妊娠中の喫煙により、胎児を危険にさらしてしまったと後悔する彼女の経験談とそれを救った医師の言葉をご紹介します。

「タバコは一生吸わない」強い決意が招いた結末

「産婦人科の主治医にタバコをやめられていなかったことを打ち明けました。そして、タバコ依存症を治療している禁煙外来に通いたいとお願いしたんです。結局、絶対安静で動くことが出来なかったので、通うことはできませんでしたが、禁煙外来の医師やカウンセリングの先生が往診に来てくれることになりました」

 

今度こそ禁煙する、そう強く思って治療を始めたまりあさん。

 

「もちろん入院して絶対安静にしている以上、どちらにせよタバコを買うことも吸うこともできなかったんですけど……。そういう問題じゃなくて、もうタバコは一生吸わない。そう決めたので、少しでも早く治療したかったんです」

 

そうして、自らの強い意志で禁煙をはじめ、タバコ依存症について勉強したり、カウンセリングを受けたりして必死に向き合ったそう。

 

やがて禁煙と絶対安静が続けられたのち、35週で無事に元気な赤ちゃんを出産しました。

 

「生まれた我が子を見た時は、もう溢れる涙を抑えることが出来ませんでした。周りに医師や看護師がいる中、わんわんと声を上げて泣きましたね。危険な目に合わせてごめんね、元気に生まれてくれてありがとうって何度も伝えました」

『赤ちゃんを守ったのはお母さんだよ』

そんなまりあさんを見つめていた産婦人科の主治医が、まりあさんの手を握ってくれたそう。

 

「私は主治医に心からの謝罪とお礼を伝えました。タバコを吸っていたこと、そしてやめさせてくれたこと。―――でもその時主治医からちょっと驚くことを言われたんです。『お母さん、赤ちゃんを守ってくれてありがとうね』と」

 

医師の予想外の言葉に、聞き間違いかと思った、と話すまりあさん。

 

きょとんとする彼女に医師は続けたという。

 

『お母さんだって一人の人間。赤ちゃんを守って当然なんて僕たち他人からは言えないし、医師と言えども強制はできない。お母さんが自分で気づいて自分の意思であの時きっぱりタバコをやめてくれて本当に良かった。赤ちゃんを守ったのはお母さん、あなただよ』

 

「驚きました。妊娠中の喫煙なんて当然怒られるべきことでしたから。なんなら怒ってほしい、責めて欲しいとさえも思っていました。でも主治医に『赤ちゃんを守ったのはあなただ』と言われて、より一層、私のしたことが間違っていたことも再確認しました。喫煙という一つの行動によって赤ちゃんの生死にかかわる過ちを犯してしまう。本当に恐ろしいことをしていたんだと改めて思いました」

 

「赤ちゃんを守れるのは私だけ」依存症を乗り越えた彼女の想い

 

赤ちゃんが無事だったのはただ幸運だっただけと話すまりあさん。そんな彼女は現在かつての夫と離婚、今は別の男性と再婚して3児の母となったそう。

 

「あれからタバコは吸っていません。2人目と3人目の妊娠の時も同じくらいつわりはきつかったし、体の変化によるストレスもやはりあったけど、吸いたいと思ったことはありません。あの時の主治医の言葉がしっかり私の中に残っているからだと思います。赤ちゃんを守れるのは私だけ。そう思って乗り越えることが出来ました。本当に感謝しています」

 

そう話す彼女からは、依存症を乗り越えたという、強い自信を感じ取ることが出来ました。
 

 

 

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