ビビる大木氏が芸能界に入った25~26年前の若手のときは芸能界でも「お金の話」はタブーだったといいます。疑問が膨らんできたとき、矢沢永吉氏の「プロなんだから、ギャランティを大切にしろよ」の言葉に背中を押されたという。※本連載は、ビビる大木氏の著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「まさか」という坂は怠慢です

人間の根本にあるのは「愛」と「善」
いずれの教えにしろ、人間の根本性について説くところは『愛』であり、『善』である。 
【『渋沢栄一訓言集』座右銘と家訓】

 

■渋沢さん、21世紀の今、現実的ではない言葉だと思います

 

この言葉、渋沢さんがおっしゃるとおりなんです。しかし、渋沢さん、僕たち21世紀の日本人は、3・11のときに体験してしまったのです。ですので、「渋沢さん、これもう理想です」とだけ言わせていただきます。

 

やはり、日本は性善説で進めてよいものと、よくないものがあると思いました。原発というシステムは、性善説で進めていくと、必ずよくないことが起こりますから要注意です。この国の組織で物事を進めていくものは性善説に立たずに決めたほうがよいと、僕は思います。

 

性善説でつくっていくと、3・11もそうでしたが、故障するはずのない原発が故障し、僕たちはその映像を見てしまいました。ゾッとしました。もう無理です。

 

性善説は素晴らしいですが、人間はそこに甘えてしまうのでダメなんです。21世紀の僕たちは、「何かやらかすヤツがいるぞ」という疑いは持ったほうがよいのかもしれません。日本人が組織をつくると必ずいるんです。やらかすヤツらが。僕たちは、そうした人間がいること込みで理解する必要があります。

 

「まさか」という坂は怠慢です。「まさか」という坂はないと誰もが断言できないのです。今年だって、新型コロナウイルスでオリンピックが延期になるなど、本当にまったく想像もしていませんでした。せいぜい6月末ぐらいには収束するだろうと思いながら、10月現在もまだ続いています。

 

渋沢さんがおっしゃることは、僕たちの理想ではあります。本当に愛と善はあってほしいです。「個人にはまだあるのかな」と思いますが、組織のように大きなシステムだと無理です。何もなければ、愛と善はあるかもしれませんが、そこに利害が絡み、「じゃあ、原子力発電所をつくりましょうか」となると、急にそこには愛と善ではないものが前面に出てきます。

 

システムが性善説のうえで成り立っているという仮説は、消滅したと思います。性善説の裏に何か隠しています。隠し事が多いのです。「消えた年金」のときもそうでした。年金も結局、問題は何も解決していません。ニュースが取り上げなくなっただけで、何も解決されていない。僕たち国民は悶々としながらも、先送りされたのでした。

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