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「通り魔を警察より早く捕まえろ」
渋沢栄一:熱い真心が必要だ!
僕がまだ若手だった頃の話ですが、足立区に通り魔が出ました。「その通り魔を、警察より早く捕まえろ」というロケの依頼がテレビ局からありました。
そのときは、僕は普通のロケ指示だと思って快諾しました。やるのが当たり前だと思っていましたし、「どうしたら犯人を捕まえられるのかな」と本気で考えました。相方と二人でハンディカメラを持ち、街中を捜査というか、パトロールしながら撮影して歩きました。
結局、犯人を捕まえられませんでしたが、振り返って考えると、「すげぇことをやってたな」と思います。今、その話をすると、「今は絶対にその企画、テレビ局では通らないよ」と言われます。「それで事件になったら、誰が責任取るんだ」という話に、企画段階でなってしまうからです。
渋沢さんは、仕事をする際に、「単に自分の役割を決まりきったカタチでこなすだけなら、それは本来の仕事とは言えない。ただ、命令にしたがって、処理しているだけだ」と言います。
仕事とは、自分からやる気を持って、「こうしたいし、ああしたい」「こうやって、これをこうすれば、さらによくなるだろう」と思いつきや、理想的な展開を加えて実行していくことであり、そうなって初めて仕事は仕事になる。そのためにも、「熱い真心が必要だ」と言っています。
テレビの世界は、ある意味、雁字搦めです。視聴者の価値観がダイレクトに番組の内容を左右します。今まで通用していたことがダメになってくるのです。そうであるならば、考え方を変えないと、みんなに見てもらえません。そういう新しい価値観に左右されます。テレビは、最近、制約だらけです!
しかし、渋沢さんの言葉のように「熱い真心」があれば、もっとおもしろいテレビの世界をつくっていくことができるはずだと、僕は信じています。